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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ円150円⇒円キャリートレードの終焉か?

今週は先週とは逆に盛りだくさんの経済指標があり、一喜一憂する展開が待ち受けている。ECB金融政策も据え置き金利が有力視されているが、ユーロドルのこう着状態とは別に、ユーロ円150.00円レベルに接近しており、大量のオプションバリアレベルであると言われる中で、思惑的な売買が先行する相場展開は避けられず、難易度も最高レベルに達する。
総じて、円安が進行しており、円キャリートレードが主役になっているが、同時に赤信号が点滅している状況でもある。ユーロ誕生以来、おしなべて、クロス円の高値を更新している状態が続いているが、金利格差の縮小が始まる状況を考慮すれば、更なる円安にも限界が生じる時期でもあり、円キャリートレードの終焉の時も近い。

▲今週もシカゴIMM先物通貨(投機筋)における円ショートが7万5千枚と再び警戒水域に達している。一方ではユーロロングも健在で有り、また、他の高金利通貨も含めて、ポジションの反転地合が高まっている。ポジション手仕舞いの動きがドル円に向かうのか、それともユーロドルに向かうのかはかなり流動的でもあり、今回も相場の変動要因として注目すべき材料であることには間違いない。

▲過去のクロス円全体の動きに注視すると、ユーロ円のレートがドル円レートを上回った時期が2002年末であり、当時のドル円は122円、ユーロ円は124円であった。要するに、1ユーロドルが1.00を下回っていた時でもある。統計的には2002年度末から現在までのクロス円の推移は以下の通りになる。

通貨別      2002年度末  2006年度8月  円安比率
ドル円      122円     117円     −4%
ユーロ円    124円     149円     20% 
ポンド円     194円     221円     14%
カナダ円      78円     102円     34%
オージ円      69円      88円     27%
キュウイ円     62円      74円     19%
スイス円      85円      94円     10%   
Total       734円     848円     15.5%

 明らかにドル円を除けば、確実に円安が進行しているが、同時に米ドル安も生じている事が確認される。
いずれにしても、波乱含みの展開は避けられず、ポジションを少なめにキープすることが優先される相場であり、臨機応変に対処するしか良策はないが、猫の目のように変わる相場展開をイメージしなければならず、大きな変動が生じてからの始動に専念することが賢
明である。

******今週のペットでも判る簡単チャートSummary********
作成年月日 2006年8月27日(日) 週末の終値ベースで事前予測実施中
年初から米ドルに対しては平行線を維持している円相場であるが、円キャリートレードの進行があるにしても、相対的には米ドル安も同時進行している状態であり、ユーロ円を筆頭に、他のクロス円の上昇が高値警戒レベルに達している。深追いは禁物レベルと言える。
US$がニュートラルレベルに達しているため、大きな歪みを待ってからの戦略を重視ししたい。
US$チャート。No.8参照 (新外為の森HP内)
ドル円 (ユーロドル⇔ユーロ円)平均乖離幅0.0950 現状乖離幅0.1064→0.1153)
乖離幅試算=ユーロドル1.2755−ユーロ円149.55(0.7840−0.6687=0.1153)
先週の弱めの売りシグナル115.80から、今週は通常の売りシグナル117.25が点灯している。少々ユーロ円が走りすぎの傾向があり、ユーロ円150円以上の深追いには要注意。
過去の週間ごとの乖離幅は以下の通り。
0.1203(117.50売り)→0.1210(118.30売り)→0.1234(116.60売り)→0.0870(113.80買い)→0.0969(113.95様子見)→0.1041(115.15売り)→0.1133(116.50売り)→0.1165(114.50売り)→0.0958(114.00買い)→0.1095(116.15売り)→0.0982(114.45買い様子見)→0.1103(116.30)→0.1064(115.80売り弱め)

ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅27円 現状乖離幅32.70→32.30円)
先週の通常売りシグナル1.2824に引き続き、今週も1.2755から売りシグナルが継続中である。過去の週間ごとの経緯は下記の通り。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→1.2269売り→1.2096買い様子見→1.2627売り→1.2729売り→1.2921売り→1.2778売り→1.2917売り→1.2644売り→1.2510買い戻し→1.2810売り→1.2653売り継続→1.2756売り継続→1.2875売り←1.2720売り弱め→1.2824売り

豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅27.85→28.05円)
先週0.7595の弱めの売りシグナルが点灯していたが、今週は平均乖離幅に接近しており、
売りシグナルが0.7575でも点灯中であるが、少なめ売りで対処したい。
過去の週ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.7380買い→.0.7318買い→0.7432買い継続→0.7517売り様子見へ→0.7536様子見
→0.7524様子見→0.7676売り→0.7661売り継続→0.7595売り

NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅37円 現状乖離幅41.75→42.55円)
依然として買いシグナルが0.6371で点灯中であるが、一部利益確定も検討すべし、乖離
幅40円、0.6450台の売り目安。週ごとの売買シグナルは以下の通り。
0.6082買い→0.6334買い継続→0.6422売りポジション解消→0.6200様子見→0.6335
様子見→0.6179買い→0.6082買い→0.6114買い継続→0.6242買い継続→0.6251買い
→0.6337買い→0.6395買い

カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅15円 現状乖離幅12.90→11.50)
先週の弱めの買いシグナル1.1253が、今週は強い買いシグナル1.1088に移行している。
過去の週ごとの推移は下記のとおり。
1.1057買い→1.1099買い→1.1180買い継続→1.1010買い→1.1063買い→1.1229買
い継続→1.1160買い→1.1282買い→1.1376売りclosed→1.1318様子見→1.1276
様子見→1.1248買い→1.1253買い継続

ポンド(ドル円x2−£円平均乖基準離幅25円 現状乖離幅13.75→13.25円)
ドル円117.25x2=234.50−ポンド円221.25=13.25円 
1.8870の売りシグナルが点灯中
過去の乖離幅の経緯は以下の通り。
30円→25→20→15→10円と半で押したような経過であったが、その後は13→16→13→17→21→17→10円と乱高下している。
乖離幅の売買目安=乖離幅30円→1.74、25円→1.780、20円→1.8250 15円→1.86、10円→1.90レベル。

スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅25円 現状乖離幅21.90→22.65円)
先週の買いシグナル1.2333から今週も引き続き買いシグナ1.2394が点灯中であるが、一部利益確定の売りも1,24台半ばでは考慮すべし。週ごとの売買シグナルは以下の通り。
1.2261買い→1.1981買い→1.2165買い→1.2250買い→1.2088買い→1.2306買い→1.2234買い→1.2432一部利益確定売り→1.2333買い

豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅10.00円)現状乖離幅13.90←14.05)
最大乖離幅17.15から順調に縮小傾向にあるが、一気に縮小する局面でもないが、少なめからの投資が前提で15円の乖離があれば、オージ円売り/キュウイ円買いのスワップ手数料も考えれば、安全なスタートとになる。過去週間ごとの推移は以下の通り。
9.30円→10.80→10.75→11.80→11.90→13.95→13.05→13.80→14.60→16.00→15.45→13.95→13.00→13.85→14.40→15.35→16.00→15.40→14.90→17.15→16.05→15.40→13.90

単純加算方式ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&260円以上は円安の目安) 
過去の経緯2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42
5月平均255.446月平均259.28 7月平均262.43円
先週は148.50+115.80=264.30と円安基調であったが、今週は更に上昇149.55+117.25=266.80と、おそらくユーロ円史上最高値更新と同様にドル円+ユーロ円の最高値を記録しており、かなり、ハイレベルの円安基調である。ユーロ円売り+ドル円売りでもリスクは限定的なレベルに達している。

● 欧州通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離65円 現状乖離幅69.35→71.70円』
先週は0.6818では弱めの売りであったが、今週は早くも買い戻しレベル0.6759に達している。ポジション解消して様子見へ。
過去の売買シグナル0.6941売り→0.6974売り→0.6939売り→0.6915売り→0.6924売り→0.6922売り→0.6748買いポジション解消→0.6731様子見→0.6818売り。

ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅54.60→54.95円』
乖離幅には変化がみられず、今週も引き続き売りシグナル1.5808で点灯中
過去の売買シグナルは以下の通り。
1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り←1.5744売り→1.5607買い→1.5702売り
→1.5726売り→1.5751売り継続→1.5815売り→1.5818売り

ポンドスイス『平均乖離25円 現状乖離30.05→32.05円』
先週はポジション解消買いが2.3200で点灯していたが、今週は早くも弱めの売りシグナ
ル2.3388に点灯している。
過去の週間ごとの推移は以下の通り。
2.2986売り→2.2763買い→2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2742買い→
2.2735買い継続→2.2614買い→2.2795売り→2.2694買い→2.2865売り→2.2742買
い→2.2651買い→2,2779売り→2.2621買い→2.2683売り→2.2975様子見→2.3340
売り→2.3495売り→2.3200買い 

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新外為の森 参照
★本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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