ウクライナ情勢混沌も株価反発でリスク回避の動き弱まる!?
昨日発表された3月の米小売売上高が市場予想0.9%に対し1.1%と、約1年ぶりの大幅な伸びを示したことを受けて、NYダウは146ドル高と反発、そして、米国債利回りも反転したことから、ドル円は一時102円台乗せるなど相対的にドルの買い戻しが優勢になっている。ただ、ドル円102円台では相変わらず実需並びにポジション調整の売りが散見されており、あくまでも段階的な上昇局面と言わざるを得ないだろう。
一方、NYダウ株価が反転したことからリスク回避の動きは弱含んでいる反面、市場は再びウクライナ情勢の緊迫感を背景に安全通貨である円買いおよびドル買い需要は根強いものがある。その中、日米欧諸国はウクライナ情勢を危惧しているものの、軍事衝突は避けられそうな状況であり、ドイツをはじめとした欧州諸国ではエネルギー源を確保する意味合いから、ロシア側との協調路線で臨むしかないのが現実なのかもしれない。いずれにしても、ウクライナ政府が財政破綻に陥っている関係上、ウクライナ国内の問題であると共に、ロシア主導の打開策に依存せざるを得ないとの声も少なくない。
他方、先にECB(欧州中銀)のドラギ総裁が一段のユーロ高なら更なる金融緩和策が必要となるだろうと発言しているが、昨日もノワイエ仏中銀総裁がECBはユーロ高が自然に修正されることを望んでおり、今後ユーロ高が加速すれば、その分の行動の必要性が高まると暗に追加緩和およびマイナス金利導入を匂わしている。また、ウクライナ情勢に対する危機感もあり、積極的にユーロを買い戻す雰囲気は削がれていることもユーロの重石になっている。