リスク回避の動き顕在化!戻り売り優先の展開?
ケリー米国務長官は議会公聴会で、ウクライナ南部のクリミア自治共和国でロシア編入の是非を問う住民投票が予定通り16日に実施されれば、米国と欧州連合(EU)は17日にも一連の重大な措置を発動させると述べ、また、ウクライナのトゥルチノフ大統領代行がロシア軍がウクライナとの国境に集結していると発言するなど、ウクライナ情勢に対する緊迫感が一層深まる中、安全資産である円買いに弾みがつくと同時に、ドル円は102円前後のストップロスを巻き込みながら101円台半ば近辺まで急落するなど上値の重い展開を強いられている。
一方、米国株式市場ではウクライナ情勢の深刻化や、中国の景気減速に対する懸念が重石となる中、NYダウ平均株価が231ドル安と4日続落、そして、米10年債利回りも低下傾向を示すなど、市場は全般的にリスク回避の動きが深まっている。
他方、中国の景気減速懸念が台頭する中、昨日は中国の李克強首相が中国は厳しい経済環境の中で一部金融商品のデフォルト(債務不履行)は避けられない見通しを述べており、金融に対する不安も含めて、中国の景気先行きに対する不透明感が高まっていることもドルと円買いを後押ししている。その中、約2年半ぶりに高値圏で推移していたユーロドルには利益確定売りと調整売りが重なり、1.39台半ば近辺から1.38台半ばまで下げ足を強めている。ドラギECB総裁はユーロの為替水準はECB物価安定評価で関連が深まるとしているが、ECBは非伝統的政策をデフレ対策で実施、必要ならば断固たる措置をとると述べ、政策金利を長期間現水準もしくは更なる低い水準にとどめるとのフォワードガイダンスを強く表明したこともユーロ売りを誘引している。
いずれにしても、ウクライナ情勢に関しては、プーチン大統領が如何に譲歩するかであろうが、瞬間的な乱高下は避けられない状況と判断し、通常よりレンジ幅を拡大して臨むことが得策であろう。