売買材料多種多彩!視界不良?
第4四半期の米国内総生産(GDP)改定値が大幅に下方修正された反面、欧州では2月のユーロ圏インフレ率が安定化の兆しを示したことで、欧州中央銀行(ECB)の緩和観測がやや後退する中、ユーロドルは年初来高値でもある1.38台まで上昇するなど、市場は米欧の経済指標の良し悪しが反映された格好になっている。その中、一部では相次ぐ米経済指標の悪化を踏まえて、連邦準備理事会(FRB)が緩和縮小を一時中断するのではないかとの憶測が飛び交い、短期筋ではドルロングを一旦解消する動きが広がりつつある。
一方、米セントルイス地区連銀のブラード総裁は第4四半期の米国内総生産(GDP)改定値が速報値から下方修正されたものの、今年の米経済成長見通しに悲観的にはなっていないと述べている。ただ、NYダウ平均株価QE縮小時期が遅れるとの見方が浮上しており、底堅い展開を示していることから、拙速的にドル売りを進行させる難しさがある。
他方、ウクライナ情勢に対して、ロシアのプーチン大統領はウクライナへの軍事介入について上院から承認を得るなど、益々市場の緊迫感が増している。その中、米オバマ大統領は深い懸念を表明し、米国はロシアのソチで予定されているG8首脳会合(サミット)の準備会合への出席を中止する方針を明らかにするなど、予断を許せない状況に陥っている。ただ、ウクライナ情勢が株式や為替相場にどのように影響するかは、未知数であることも間違いなく、安易なポジショニングは自重せざるを得ないだろう。いずれにしても、当面、市場は地政学的リスクに注視せざるを得ないだろうが、ロシアの軍事介入で早期にウクライナ情勢が沈静化する可能性は捨てきれず、積極的にポジションをどちらにも傾けづらい外部環境になっている。