ドル円年初来高値更新視野に!豪ドル円押し目買いに妙味?
昨日発表された11月の米小売売上高や10月企業在庫が強い内容となったことで、米経済への回復期待が更に強まる中、早期QE縮小期待が高まると共に、米10年債利回りは2.88%と8月以来の水準まで上昇している。そして、NYダウ平均は3日続落したにもかかわらず、市場では調整局面と判断し、米回復期待と日米金利差拡大が合い混じり、ドルを買い戻す動き買いが強まり、ドル円は103円台を回復し、再び、年初来高値103.74円を窺う様相を呈している。
一方、ユーロ圏では、欧州金融機関による年末にむけての手元資金流動性の確保により、短期金融市場でユーロの短期金利が上昇しているが、昨日アスムセンECB専務理事がマイナス金利について言及し、理論上は可能であるが非常に注意を要するとした上、使用の可能性は排除しないとも言及している。徐々にユーロの上値の重さが意識され始めている。当面、もう一段の下落局面も想定せざるを得ない相場環境にあり、1.38前後からの戻り売り圧力が増している。
他方、豪州のスティーブンス中銀総裁が豪ドルは対ドルで0.85近辺に下落する必要を示唆する中、FRBは緩和縮小開始を長引かせるべきではないと言及したことを受けて、豪ドルは節目である0.900割れへと一気に下げ足を強めている。その中、短期筋並びに機関投資家のストップロスを招きながら、豪ドル円にも波及している。ただ、ドル円の上昇に助けられた側面もあり、下げ幅は限定的になっている。
穿った見方になるが、過去の例においても、当事国が直接的に為替相場に苦言を呈した場合には、考えているようなシナリオにならないことがほとんどであり、過度な豪ドル安は期待薄とみなした方が賢明であろう。むしろ、もう一段の下げ局面ともなれば、ドル円との乖離幅を考慮すれば、中期的な視野で押し目買い志向で対応することに妙味が生じている。