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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

材料不足否めず!直近のレンジ幅で対応可?

特筆すべき材料も無い中、米国債利回りは上昇基調を示している関係上、NYダウ平均株価は小幅ながらも8ドルほど下落して引けている。ただ、前日まで4日連続で過去最高値を更新していた関係上、やや高値警戒感による調整売りが優先されている段階であり、市場は米量的緩和への長期化観測が根強く、総じて、安定的に推移していると解釈できるだろう。その中、ドル円は株高期待を背景とした円売りが進行し、再び100円台まで回復するなど下値懸念は更に希薄になっている。

一方、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が定期的な為替介入から脱却し、人民元の変動幅を緩やかに拡大する方針を示している。今後の為替相場への影響も懸念されるが、中期的な視野から判断すれば、人民元買いが確実に進行することは間違いないだろう。反面、国際的な為替相場への信頼性も含めた閉鎖的な中国市場に対する不透明感、そして、市場自体が中国経済への依存度が以前より低下する中、今後の中国経済のバブル崩壊の可能性などを考慮すると、即座にドル流動性資金が人民元にシフトされる可能性は低くなっている。

他方、昨日、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は債券購入プログラムの開始以来、労働市場が大幅改善を示しているが、指標金利は債券購入終了後も長期間低水準にとどまるだろうとの見解を明らかにしている。また、同議長は資産購入の終了後もFF金利の誘導目標はかなりの期間ゼロ近くで推移する見通しであり、失業率が6.5%の目安を下回った後もしばらく続くとの見解を述べている。すでに、次期FRB議長に指名されているイエレン副議長に下駄を預けた格好となり、市場へのインパクトは限定的になっており、市場は次なる材料探しの場と化している。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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