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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ECB想定外の利下げ実施!少な目の売買で対応?

ECB理事会では金利据え置きが有力視されていたが、ECB理事会メンバーの約4分の1が利下げ決定に反対する中、0.25%の引き下げ、過去最低となる0.25%としている。ユーロドルは予想外の利下げに反応する格好でユーロドルは一時1.33割れまで急落するなどマーケットは損失確定売りを余儀なくされている。これで、日米欧各国が挙って金融緩和競争に突入しており、今後も株価への好影響を期待できる反面、世界的な景気回復に不透明感が更に増したとも解釈できる。

一方、ドラギECB総裁は記者会見において、金利決定は7月のフォワードガイダンスに沿ったものであり、政策金利は長期にわたり低水準に留まり、低インフレ局面が長期化する可能性も言及している。また、失業率は依然として高く、成長リスクは引き続き下方向にあり、インフレ率の低下は予想以上に激しいことを強調している。そして、ユーロ圏の状況が日本と同様とは思わないとした上、デフレ懸念はないと判断しているが、市場の一部ではマイナス金利導入の可能性を捨てきれないとの見解も広がるなど、ユーロの戻りは限定的と言わざるを得ない。

他方、ドル円は米商務省が2013年7〜9月期の米実質国内総生産(GDP)は、前期に比べ年率換算で2.8%増となり、市場が予想していた2%程度を大幅に上回ったことを受けて、一時ドル円は99円台半ば近辺まで上昇したものの、次回10〜12月期のGDPは、米政府機関の閉鎖の影響を受けて悪化するとの見方もあり、上値は限定的になっている。その後、ユーロ円の急落に伴った円買い圧力が増す中、98円割れまで急落するなど波乱含みに展開に陥っている。
いずれにしても、相場自体が落ち着きを見せていない中、本日は米雇用統計の発表を迎えることになるが、依然として、ストップロスが先行している関係上、ドル円及びユーロの上値は限定的と見なしたほうが賢明であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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