ドル売りに過剰反応!買戻しも一考?
米労働省が発表した9月雇用統計では失業率は改善したものの、非農業部門雇用者数は市場予想18万人増に反して、14万人8千人と大幅に下回ったことが嫌気される中、米連邦準備理事会(FRB)は年内の量的緩和縮小が来年春以降にずれ込むとの見方が支配的になっている。その中、ドル円は一時97円台に突入、そして、ユーロドルはストップロスを巻き込む格好で約1年11カ月ぶりの高値圏1.37台半ばまで推移するなど、ドル全面安の状況に陥っている。
一方、次回の10月米雇用統計も米政府機関の一部閉鎖の影響でデータ不足は否めないが、政府関連企業の雇用情勢の悪化が見込まれており、雇用改善のペースは更に鈍化する可能性もあり、ドルのリバウンドは限定的になっている。また、米財政問題は一応与野党間で決着したものの、議会の対立が来年以降も再燃する懸念から、前回並みの混乱が予想されるだけに、ドルを積極的に買戻す動きは制約されている。
他方、株式市場は低金利政策の長期化を踏まえて底堅さを維持している反面、高値警戒感も浮上している。また、ドル全面安を背景にして、ユーロドルを筆頭に主要通貨が対ドルで過熱気味に上昇基調を強めており、更にドル売りを強行できるかは甚だ疑問視されている。本チャート上においても、市場がドル売りに過剰反応している嫌いがあり、一旦、ドルを買い戻す清算局面に突入している。それ故に、これからの過度なドル安期待は自重局面に差し掛かっていると言わざるを得ない。