方向感定まらず、一進一退!?
市場の関心は東京五輪やシリア情勢から今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)に移行する中、オバマ米大統領はサマーズ氏の次期連邦準備理事会(FRB)議長候補を辞退した旨の考えを示したことから、早期のQE3に不透明感が漂い、ドルの調整売りが強まっている。
サマーズ氏が議長になれば、量的緩和の縮小を迅速に遂行するとの見方が支配的であったが、次なる議長候補には、サマーズ氏よりもハト派的であると言われているイエレン副議長が有力視されていることもドル売りを誘引させている。ただ、地政学的リスクによる財政支出や堅調な株価維持などを考慮すれば、誰がFRB議長に就任したとしても、米金融政策に大きな変更はなく、早期の金融緩和縮小は見送られる公算が高く、ドル売りを積極的に仕掛ける相場環境には至っていない。
一方、ユーロドルは1.3500が徐々に視野に入りつつあるが、ドラギ総裁はユーロ圏の景気について、回復はまだ始まったばかりだとし、経済は依然として脆弱で、失業率の高さを指摘する中、総じて弱いインフレ見通しが中期に及ぶことを前提に、政策委員会はECB政策金利が長期にわたり現行またはそれ以下の水準にとどまると考えていると改めて述べており、ユーロドルを更に買い上げるリスクも生じており、引き続き戻り売りが優先されている。
他方、IMM通貨先物市場においては、円ショートが危険水準の9万5千枚台まで膨れており、徐々にドル円100円台が重石になっている反面、シリア情勢が一服していることもあり、リスク回避の円買い志向は後退しつつある。