昨日、オバマ米大統領が演説で、シリアへの軍事介入の可能性を維持したものの、ロシア側の提案に沿った形で外交的打開策に取り組むとの姿勢を改めて強調したことから、市場ではリスク回避の動きが和らぐ中、有事のドル買いは一旦後退しており、ドル円は再度100円割れ、そして、ユーロドルは1.33台へと調整色を強めている。

一方、NYダウは米大統領がシリアへの武力行使を承認する決議案の採決を先送りするよう要請したことが好感され、前日比135.54ドル高の15326.60ドルで引けており、株価が堅調に推移していることから、ドルの戻り売りは限定的と見なしたほうが賢明であろう。
その中、米10年債入札は最高落札利回りが2.946％と低下する中、応札倍率は2.86倍と、前回の2.45倍と比較しても旺盛であるが、10年債利回り3％の壁が意識されているのが現状であり、過度な金利差拡大によるドル買いニーズは自重局面にあると言わざるを得ない。

他方、市場はシリア情勢懸念によるリスク回避の円買いに始まり、東京五輪開催を背景とした株高期待による円売り、そして、シリア情勢の沈静化による円の買い戻しなど、目まぐるしい展開を余儀なくされている。今後もドル円100円前後の攻防が続く可能性が高いだけに、相場が大きく動意づいてからの逆張り思考が一考であろう。
また、来週に控えているFOMCにも注視せざるを得ないが、米量的緩和（QE）縮小が流動性問題にまで波及しており、早期の縮小実施は危ぶまれている。