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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

シリア情勢沈静化!?油断大敵?

昨日、ロシアがシリアの化学兵器を国際管理下に置くとの提案を受ける中、時間の経過と共に、シリアへの軍事介入に対する否定的な考え方が大勢を占めている。とりあえず、軍事介入は回避される見通しであるが、米政府当局者側からは、オバマ大統領がシリアの化学兵器を国際管理する提案を歓迎する旨を示しており、今後、国連安全保障理事会で協議することに同意するなどシリア情勢が沈静化する兆しがある。そして、市場はリスク回避のドル買いや円買い志向は後退しつつあるが、ただ、米オバマ大統領は引き続きシリアへ圧力をかけるためにも、米議会に対しては軍事介入を認める決議案を承認するよう求めていく方針である。

一方、化学兵器を国際管理下に置かれるとしても、誰が何時、どこで行うかが問われている。国連の調査団の分析結果が出るまでには、少なくとも1〜2週間ほどかかる予定であるが、シリアのアサド大統領は、軍事介入が実施された場合には、徹底抗戦の構えを示しているように、時間稼ぎの感も否めず、未だに一触即発の可能性を残している以上、積極的なドル売り並びに円売り志向にも限界が見え隠れしている。

他方、株式市場では、本邦の五輪開催決定、そして、中国の経済指標が相次いで改善される中、世界的な株高を背景に、潜在的な円売り志向に傾斜している。ドル円は着々と100円台の足固めの段階ではあるが、当面、シリア情勢を見極めるまでは試行錯誤の段階にあり、加速的なドル円の上昇シナリオは描きにくいのが現状かもしれない。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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