オリンピック開催で株高・円安志向強まる!?
先週末発表された8月米雇用統計が弱い内容となったことで、今月のFOMCにおけるQE縮小開始期待が後退する中、ドル売り志向が強まっている。内容的には失業率は7.4%から7.3%に改善され、4年半ぶりの低水準となったものの、非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回ると共に、前回分が5.8万人も下方修正される中、労働参加率が63.2%と78年8月以来の水準に低下していることが嫌気されている。
一方、オバマ米大統領がシリアへの軍事介入に意欲を見せてはいるが、議会で承認されたとしても、時間の経過と共に想定されるほどの規模にはならないとの観測が深まっており、市場への影響も限定的との見方が支配的になりつつある。穿った見方になるが、有事のドル買いと言うよりは、有事のドル売りが優先される可能性が否定できず、リスク回避による積極的なドル買いシナリオは自重局面にある。
他方、新興国のドル流動性懸念を背景に、米10年債利回りは一時3%台まで上昇していたが、流石に急ピッチの上昇は米財政に大きな影響を及ぼすとの声が少なくなく、徐々に冷静さを取り戻している。金利差拡大によるドル買いにも限界が見え隠れしていることも、ドル売りを誘引している。
補足的ではあるが、2020年のオリンピック開催が東京に決定したことを受けて、株価の上昇が見込まれる中、ドル円は底堅い展開が予想される。ただ、オリンピック開催が経済の活性化を促すとの思惑から、当面、再度ドル円100円トライは意識せざるを得ないだろう。