ドル円95円台意識も不安定な円高局面!?
米国の量的緩和縮小開始の時期をめぐる思惑が交錯する中、連日の米地区連銀総裁の発言は、総じて、早期のQE縮小開始を予感させる内容となっている。昨日もピアナルト・クリーブランド連銀総裁も労働市場が力強く留まればQE縮小に備えたいと指摘している。縮小時期は9月には無理としても、少なくとも、年末にかけて実施されるとの観測が大勢を占め始めており、相対的なドルの流動性欠如を踏まえたリスクオフの動きが強まり、株式市場において見切売りが優先されている。
一方、ドル円は、再び株安円高の構図の影響を受けて、リスク回避の円買いが進行している。現段階では株価が下げ止まらない限り、ドル円95円前後も再認識せざるを得ない外部環境にある。ただ、米国のゼロ金利政策の持続性には変化がないため、NYダウは前日比48ドル安と小幅な下落にとどまっており、1万5千ドル割れへの危機感は薄れているだけに、過度な円高期待は自重することが一考であろう。
他方、ユーロドルはドル売りにあい混じり、欧州各国で景気回復を促す指標が続いているため、ジリジリと底堅さを取り戻しつつあるが、チャート的には1.34前後から急落した経緯があり、積極的に買い進む難しさがあるため、引き続き戻り売りを優先することが得策であろう。
その他では、本日の日銀金融政策決定会合にも注目が寄せられているが、金融政策の現状維持が見込まれる中、また、黒田日銀総裁の記者会見では足もとの経済および物価動向を見守る程度の発言に終わる可能性が高く、為替相場への影響は限定的であろう。ただ、将来の消費税導入には株安および過度な円高環境はアベノミクスの足かせとなるだけに、何らかの援助発言は考慮せざるを得ないかもしれない。