株価好調も円売りに陰り!ドル円戻り売りに妙味?
米国経済への景気回復期待は根強い中、NYダウは15,300ドルまで続伸、依然として、市場はドル買い志向に傾斜している。その中、ユーロドルは一時年初来安値水準である1.27台半ば近辺まで下落している。
一方、ECBが主要金利は長期間にわたって現行水準かそれを下回る水準にとどまると旨のフォワード・ガイダンスを公表しているが、昨日、アスムセン専務理事は長期間に関しては、12ヶ月超になると述べたほか、新たに追加の長期流動性供給オペ(LTRO)を排除しないとも言及。また、格付け会社S&Pがイタリアの格付けをBBBプラスからBBBに格下げ、見通しもネガティブにしたこともユーロ売りを誘発させている。
他方、国際通貨基金(IMF)は、2013年の最新の世界経済見通しを発表、成長率を前回4月の3.3%から3.1%に引き下げ、また、新興国の成長減速やユーロ圏の景気後退の長期化が理由に、2014年についても前回の4.0%から3.8%に下方修正している。そして、米国の金融緩和縮小により、新興国の成長が妨げられた場合、世界の成長率は一段と減速する可能性があるとも指摘している。そして、IMFは日本については、大規模な金融緩和が信頼感や民間需要を下支えしているとして、13年の成長率予想を1.6%から2%に引き上げてはいるが、反面、日本の一連の成長戦略で構造改革を実現できなかった場合、アベノミクスは背経済へのリスクになるとも指摘している。
アベノミクス路線を軌道に乗せるためにも、参議院選挙で圧勝は必要であり、当面、ドル買い・円売り志向が強まる可能性が強いが、反面、過去のデータによれば、参院選挙後には株安・円高に追い込まれていることを踏まえると、もう一段の上昇局面では円ロングに転じることも一考かもしれない。