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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

メリハリのない売買は “X” 休む勇気を!◎

先週は米ドル高週間とも言えた相場である。しかしながら、一方的なドル高、円高、そしてユーロドル高も短命であり、金利のような継続的な推移を求める事は出来ない。
今週も米経済指標中心のマーケットではあるが、週末に米雇用統計が控えている以上は機関投資家、及び実需の売買も模様眺めが主体なだけに、積極的な展開は望めないが、米ドル売りの方向感から、一転して、米ドルの買い調整も充分に予想されるため、先週以上の乱高下を想定して臨みたい。
▲米長期金利も5%を越えてから、不安定な動きを示している。長期債の利回りがこれからの米金利動向と米経済の不透明感を物語っており、米ドルの基準点が定まらない状態である。メリハリのない売買ならば、見送りが正解である。米金利動向も一時と比較すると、沈静化はしているが、マーケットの方向感を探る最終局面でもあり、あらゆる経済指標や要人発言が最終的には米金利の利上げ観測に集約され、小規模な一喜一憂の展開が繰り広げられている。いずれにしても6月のFOMCにおいて、最終段階を迎える事になるが、再度利上げされたとしても、米ドルの押し上げ要因も一時的と判断するほうが賢明であり、米ドル金利の賞味期限もFOMCの政策金利発表までと見るのが妥当であろう。
▲シカゴの投機筋IMM通貨先物の推移も見る限りは、米ドルのショートが膨張しており、デフレ経済脱却宣言も近いと見て、円のロングも微妙な段階になっている。またスイスフランまでもがロングになっている状況下では、表面的には米ドル売りが過剰に先行していると判断し、逆に米ドルの反発も警戒すべき段階とも言える。米ドル売りが本線ではあるが、米ドル買い調整も充分にある相場でもあり、次回のFOMCまでは適度な米ドルロングのほうに妙味がある。市場ではドル円の113円の壁を意識するコメントも見られるが、現実の壁は115円であり、114円台までの上昇も一考すべきであろう。
いずれにしても、予断が許せない状況が続くが、日々の思惑的な売買には限界があるため、当面はドル円の110円、ユーロドル1.3000が一つの分岐点として捉え、そして、ユーロ円143円をイメージできるような発想も必要であり、瞬間的な材料に惑わされないトレードに専念することも大事である。
▲某テクニカル分析によれば、一目均衡表、MACDなども軒並み円高を予測しているようだが、タイミング的には遅すぎるシグナルでもあり、逆に危険信号とも言えるかもしれない。マーケットは急速な円高により、相場の転換期に向かっている事は間違いないが、相場の見方が急変することを想定しなければならず、そして、見極めるための時間も要するため、少ないポジションで臨むことが望ましい。急速な円高と過度な円高期待はすべきではなく、少なめのポジションで眺める相場である。

*******今週のペットでも判る簡単チャート『事前予測実施中』********作成年月日 2006年5月28日(日) 週末の終値ベース
先週は米ドルの売られすぎを指摘したが、先週よりは米ドルの買い基調は収まってはいるが、チャート上では、まだ米ドルの買い余地がある段階である。もう一段の上昇を見てからの米ドル売りのシナリオを考慮したい。

ドル円 112.70円 様子見段階【ユーロドル1.2742⇔ユーロ円143.60】
平均乖離幅0.9500 現状乖離幅 0.7848−0.6963=0.0885
(1ユーロ÷1.2742=0.7848)=(100円÷143.60=0.6963)
乖離幅からはドル円の買いシグナルガ点灯しているが、いまだ弱めの段階であり、基本は様子見が正解である。他の通貨ペアの状況を待ってからの始動になる。
過去の乖離幅とドル円売買シグナルは
1.2033(ドル円売り117.50)→1.2096(ドル円118.30)→1.2340(ドル円売り116.60)→0.0870(ドル円買い113.80) それ以後は様子見が続いている。
((HP新外為の森⇒ドル円 ?参照)

ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅24円 現状乖離幅31.03→30.90円)
先週はユーロドル1.28台の上昇も見られたが、引き続き売りシグナルが1.2742で点灯中。以下は一週間ごとの売買シグナル(事前予測)。1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り←1.2030買い→1.2124売り→1.2269売り→1.2096買い→1.2340売り→1.2627売り→1.2729売り→1.2921売り→1.2778売り。

豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅27.00→27.35円)
先週半ばに0.7520の買戻しから様子見レベルに達しており、今週も基本的に強い売買シグナルが点灯しておらず、0.7573で様子見。

NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅37円 現状乖離幅42.45→41.30円)
先週は0.6200前後での弱い買いシグナルが点灯していたが、今週も同様に弱い買いシグナルが0.6335で点灯中。 NZドルの軟調後だけに、もう少し強い買いシグナルが必要であり、現状では様子見が正解。
週間ごとの売買シグナルは0.6082の買い→0.6334の買い→0.6380の買い→0.6422売りポジション解消→0.6200様子見。

カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅17円 現状乖離幅11.79→10.85円)
連日買いシグナルが点灯しており、今週は再度強い買いシグナルが1.1065で点灯中。
週ごとの買いシグナルは1.1057→1.1099→1.1180

ポンド(ドル円x2−£円平均乖基準離幅25円 現状乖離幅13.45→15.90円)
乖離幅の急速な縮小から、再び拡大しており、乱高下が甚だしい。基本的には売りシグナルが1.8589で点灯中。先々週の強めの売りシグナル1.8942から先週の1.8796売りシグナルと調整局面ではあるが、まだ不充分な調整であり、もう一段の下落を示している。、先週までの乖離幅の推移は30円→25円→20円→15円→10円→13.45円と動きは激しいため、少な目からのスタート。

スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅19.88→20.70円) 
強い買いシグナルが1.1981で点灯してから、順調に戻り基調であり、先週は1.2250まで上昇はしたが、依然として同レベルで買いシグナルが点灯中。

豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅9.00円)15.45→13.95円)
最大乖離幅16円から縮小気配であり、最近の乖離幅拡大からは利益確定も考えられるが、乖離幅10円前後までの縮小を目標に豪ドル売り・NZドル買いを継続。
過去の週間の推移は9.30→10.75→11.80→11.90→13.95→13.05→13.80→14.60←16.00→15.45

単純加算方式 ユーロ円+ドル円(250円以下は円高&260円以上は円安の目安) 
過去の経緯から判断しても、一時の円安は収束している。
2月平均258.80 3月平均257.83 4月平均260.42 5月平均255.44円
5月は257.50→255.70→252.25→先週143.60+112.70=256.30 円高基調であるが、先週は小休止、250円の買いと260円の売り基調には変化がない。

欧州通貨ペア(1週間毎の過去の経緯)
ユーロポンド『平均乖離65円 現状乖離幅67.22→65.90円』
先週は買いシグナルが0.6789で点灯し、ポジション解消となったが、今週は再度売りシグナルが0.6854で点灯中。少な目からスタート
過去の売りシグナルは0.6941→0.6974→0.6939→0.6915→0.6924→0.6922→0.6822→0.6789買い戻し。

ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅50.91→51.60円』
様子見が続いていたが、今週は1.5609の弱めの売りシグナルが点灯中。
1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り←1.5742様子見→1.5725様子見→
1.5744→1.5653売り継続→1.5607様子見→先週1.5544様子見

ポンドスイス『平均乖離25円 現状乖離26.31→25.50円』
先々週から弱めの買いシグナルが点灯しているが、基本的には様子見。今週も弱い買いシグナル2.2772で点灯中。
2.2986売り→2.2763買い→2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2684買い継続→2.2742→2.2735買い継続→2.2614買い→2.2795売り→2.2694弱め買い→2.2865売り
新外為の森 参照★本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの
始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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