ドル円100円トライ!3度目の正直なるか?
麻生財務相と黒田日銀総裁はG20閉幕後の会見において、日銀の金融緩和は為替操作を目的としたものではなく、あくまで国内のデフレに対処したものとの日本の金融政策の意図を各国が理解したことを示唆したことを受けて、市場全般に円売りに安堵感が広がる中、ドル円は再び100円台への意識が高まっている。4月初旬に黒田日銀総裁が大胆な金融緩和策を打ち出して以降、これでドル円100円トライは3度目になるが、市場心理並びに原則としては、今度こそ100円をクリアーするとの見方が支配的になっている。ただ、100円台以上からの円安に対しては、再び海外勢からの批判を誘発しかねない状況である。そして、シカゴIMM通貨先物市場においては、投機筋の円ショートが危険水域である9万3千枚台まで積みあがっており、ドル円100円レベルでは一旦清算局面として捉えることが賢明であろう。
一方、G20声明文においては、日本の最近の政策はデフレ回避と内需支援を目的とするものであるが、通貨の競争的な切り下げを回避し、競争上の目的で為替レートを利用しない旨を指摘している。また、金融フローの過度のボラティリティと無秩序な為替の動きは経済・金融の安定を脅かすものであり、そして、日本は信頼できる中期的な財政計画を策定すべきであり、金融緩和策の長期化が招く副作用に留意することも示唆しているため、とりあえず過度な円安期待は自重することが一考であろう。
他方、ユーロドルは円売りに助長される格好で、一時1.31台半ば近辺まで迫る場面もあったが、リスク回避の動きが強まり、ユーロ買いの流れは長続きせず、依然として。1.3000〜1.3150のレンジ相場の域を脱していない。当面、上記レンジ幅で売買を模索することが得策であろう。