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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円遅かれ早かれ100円台!円安の副作用も現実味?

ドル円相場は確実に100円台に向けて、円売りが急加速している。ここまで円売り志向が高まれば、市場原理としても100円台は時間の問題と言わざるを得ないだろう。ただ、達成感による戻り売りにも警戒するほか、同時に、急ピッチの円安による輸入物価の上昇や各国からの円安批判などの副作用などが表面化する可能性があり、引き続き神経質な展開を余儀なくされている。

一方、日銀の異次元の金融緩和によって、日銀は国債の購入を恒久的に継続するしかないだろうが、既に短期債利回りは0.1%台まで低下している関係上、日銀としては、残存期間7年債以上の国債を購入しながら、デフレ脱却に向けた景気浮揚策を目指すことになるが、個人投資家や海外投機筋にとっては、もはや日本国債は魅力的な投資対象ではなくなりつつあり、単なるリスク回避の手段の一つにもなりかねない。その中、資金流動性は債券市場から株及び為替市場へのシフトが必然的に行われる可能性が高く、株高・円安を助長することが予想される反面、遅かれ早かれ、国債離れによる金利上昇と共に、国債信用力の低下を招く可能性があり、一概に円安を一方的に歓迎するほどのムードには達していないのが現状かもしれない。

他方、ユーロ圏では特筆すべき材料もない中、円相場がかく乱要因になっているため、現状ではユーロドルは1.3000前後で右往左往しているが、一部報道では、イタリア中銀とスペイン中銀が、国内銀への流動性供給の際に、担保として提出された政府保証付きの債券に対し、ECBが定めている担保ルールを無視し、評価以上の貸し出しを実施したと報じられている。ただ、ECBは事実無根と否定しているものの、キプロス情勢も進展も見られない中、依然として、ユーロ圏における財政危機をめぐって戻り売りが優先されやすい展開は否めないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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