欧州財政危機深刻化!アベノミクスの賞味期限切れが視野?
欧州中央銀行(ECB)は、土壇場でユーロ圏による100億ユーロのキプロス救済合意を受け、キプロス中銀による同国銀行セクターへの緊急融資供与を停止させないとの立場を明らかにした。合意によると、最大手のキプロス銀行の保証対象外の預金者は最大40%の損失負担が求められるが、キプロス2位の銀行キプロス・ポピュラー銀行が整理され、保証対象外の預金と優先債保有者などの無担保債権はほぼ全額が失われる見通しである。
一方、ユーログループのダイセルブルーム議長がキプロスの銀行リストラは他のユーロ圏諸国にとって救済のひな形と見なされるべきと発言としたことが嫌気され、欧州全般に財政危機が広がるとの見方が懸念される中、ユーロは1.3000台から1.28台半ば近辺まで急落している。また、キプロスのニコラス・パパドプロス議員は、ユーロ圏にとどまりたいが、現在はユーロ圏離脱の検討には一理あると発言した上、非常に深刻なリセッションに入り、成長見通しがない中で、高い失業率を経験するだろうと述べており、キプロスは依然として瀬戸際の破綻リスクを抱えている。今後も何らかの対応策並びに支援策が講じられたとしても、ユーロの反発は一過性に終わる可能性が高く、引き続きユーロの戻り売りが優先されやすい外部環境にある。
他方、ドル円は、日銀新体制の下、円売り志向は根強いものの、キプロス情勢の全貌が明らかにされるまでは、引き続きリスク回避による円買いの動きが優先される可能性が高く、ユーロと同様に、戻り売りに傾斜せざるを得ないだろう。昨日はドル円95円台の上値の重さが再認識される中、一時93円台半ば近辺まで急落しているが、これまでのようなアベノミクス期待による株高・円安の構図も賞味期限切れの可能性も視野に入れる必要があるだろう。