リスク回避の動き継続!ドル円・ユーロ戻り売り優先?
ユーロドルはキプロスの財政危機をめぐり、不安感が募る中、一時、ロシアとの支援協議が不調に終わったことが嫌気され、一時1.290割れまで下落したが、その後、キプロス議会は金融支援確保を目指す法案を可決。キプロスが金融崩壊を回避し、域内での危機感染を防ぐための合意に近づきつつあるとの楽観論が広がる中、1.3000台を回復している。
一方、ユーロ圏財務相は、ブリュッセルで緊急会合を開き、支援条件を再協議、金融支援を得るためキプロスが取りまとめた銀行整理などの措置が十分かどうかを検討する旨が伝えられている。キプロス当局は救済策の条件を満たすため、58億ユーロの自主財源をめぐって、欧州中央銀行(ECB)、欧州委員会、国際通貨基金(IMF)のトロイカと協議を続けてはいるが、市場は難航必至との見方が優勢である。キプロスの最大手銀行、バンク・オブ・キプロスの10万ユーロを上回る預金に20%、他の銀行の同規模の預金に4%を課税することで合意が成立した模様。
他方、ドイツのショイブレ財務相は、キプロス危機はスペインとポルトガルに影響を与えていないとしているが、格付け会社ムーディーズは、先のS&Pに続いて、キプロスの銀行格付けをCaa2からCaa3に1段階引き下げるなど、ユーロを積極的に買い戻す機運には至っていない。また、フィッチは英格付けを数週間以内にも引き下げる公算が大きいとの見解を示しており、ポンド売りがユーロの下支えになっているものの、当面、キプロス問題の難航が予想されるだけに、過度なユーロロングは自重局面と言わざるを得ないだろう。そして、ドル円はリスク回避の動きが強まり、再度94円台半ば前後で右往左往しているが、日銀新体制の下、円売り志向は健在との見方が優勢であり、下値は限定的であろう。