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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円高と日銀介入操作の可能性

本日はFOMCを控えて、あれこれと薀蓄をと思いましたが、為替相場を云々するよりは、急劇な円高局面を迎えたことにより、日銀介入が再燃していますので、今後の日銀介入操作の可能性と動向を探ってみたいと思います。
日銀の介入も2004年3月29日の介入を最後に、2年以上経過しましたね。その間にFXを始められた一般投資家も多いと聞きますので、ちょっぴり参考にでもなればと思います。

●渡辺財務官も就任してからは、のんびり円安を眺めていたが?未だに、為替操作は未経験ですね。梅雨と共に試練の時が接近中。財政的にも豊富な介入資金があるわけでもなく、米国債も買えない介入操作となると、どうしたものやら。すでに口先介入もどきの発言もありますが、ドル円110円を目前にして、当局も右往左往しているのではと、勝手にイメージしています。
日本政府の姿勢も今後の円高を懸念はしているが、介入に対しては、いつものように断固たる介入姿勢を打ち出すでもなく、市場参加者も日銀介入の脅威は感じられないようです。
前回に実施された為替介入はデフレ経済脱却に躍起になっていた時期でもあり、そのため100円割れを防ぐのが日本政府の使命でもあったのでしょうが、現時点では脱デフレ宣言とゼロ金利解除が目前でもあり、当時と比較しても経済基盤の違いがはっきりしていますから、為替相場の推移としても円高容認が受け入れ易い情勢でもあります。
▲ドル円105円割れの事態が生じなければ、日本政府としても『忍の一字』。本格的な介入は難しいと見るのが順当でしょう。個人的な見解としては、今回ばかりは中途半端な介入操作を実施するべきではなく、将来的には100円割れを警戒した介入に専念したほうが賢明だと思います。
●今まで日本経済の景況感を牽引してきた景気回復セット【ゼロ金利と円安】を放棄する時期が確実に迫っている。 日米間においても、ある程度の円高基調は容認しても、日本政府としては、人民元の切り利上げが生じたときに、更なる円高への波及を考えると、当面はドル円110円台をキープしたいのが本音であろうが、介入操作が、逆に円高の演出効果に変わってしまう恐れもある。いずれにしても、110円を割れてからの話題でもあるが、当局の介入操作の流れや方法を察知することができれば、日銀介入で収益チャンスも増える。
●ちなみに、前回の日銀介入は100回以上あり、2円以上の押し上げ介入に成功したのは27回、そして、翌日まで2円以上キープできた回数は僅か2回のみ。2円以上の上昇を見たら、迷わず、ドル売りが正解となるが、柳の下に日銀ドジョウがいるかどうかは不明ですが、当局のクセも知ることも大事です

★本日は米金利動向のFOMCに集約されるが、同時に米財務省からの為替報告もあり、為替制度の柔軟化へ進展中と言われる中国に対して為替管理国に指名する事態にはならないと思われるが、危機として、人民元の切り上げが進まない状況であるが、米国としても、人民元の切り上げがままならないと、円高の力を先取りする事態も想定できますね。

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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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