ドル円・ユーロ共に波乱含み必至!レンジ拡大で対応?
キプロス議会がユーロ圏からの金融支援の条件である銀行預金課税法案を否決したことにより、欧州の先行き不透明感が一層強まっている。市場は、当面、キプロス問題の動向を見極めたいとの思惑から、総じて、積極的な売買は手控えられている。
キプロスでは、銀行預金への課税という形で預金者に救済資金の一部負担を強いる欧州の計画に対して反発が広がっているが、欧州中央銀行(ECB)が当面、流動性供給を続けると表明、また、ロシアに支援要請するなど、新たな代替案が提示されるとの見方が先行したことから、ユーロドルは一時1.300台を意識される場面もあったが、時間稼ぎとの観測もあり、同レベルでは利食いやポジション調整売りに圧される格好で、1.29台半ば前後で右往左往している。また、キプロス中銀は国内の銀行は少なくとも来週26日まで閉鎖される見通しを発表しているが、その後の混乱も避けられない情勢であり、ユーロは未だに流動的と言わざるを得ないだろう。
一方、ドル円は、一時キプロス問題の波及懸念を背景とした円買いに走る場面もあったが、依然として、日銀の新体制への期待を背景に円売り志向は根強いものがあり、96円台を回復している。ただ、IMM通貨先物市場においては、円ショートが危険水域まで膨らんでいることを考慮すると、更に円売りを強行できない側面があり、当面、95~97円のレンジ幅で売買を模索することが一考であろう。
他方、米FOMCでは景気判断が引き上げられる中、バーナンキFRB議長は、失業率は依然として高いものの、米経済は穏やかな成長期に戻っていることを指摘、住宅市場は更に伸びており、また、民間雇用市場の成長は更に加速するとの見解を示すなど、ドル買いニーズは更に強まっている。反面、強いドルが米経済の足かせになる可能性もあり、一方的なドル上昇局面とみなすには時期尚早であろう。