株高・円安の構図は小康状態!ドル円戻り売りに妙味?
米株式市場ではNYダウ平均株価が史上最高値を更新中であり、また、新規失業保険申請件数の強い内容を好感し、米国経済の回復期待がより一層高まっている。その中、債券市場では米国債利回りが上昇するなど、日米金利差拡大を背景に米ドルロングを形成し易い外部環境にある。反面、株式市場の過熱感も踏まえた短期筋の利益確定売りが加わり、ドル買いは一服しつつある。特に円は年初来から既に8%程度も下落する中、更に円売りを敢行する難しさもある。
一方、昨日、衆院において、次期日銀総裁に黒田氏を充てる政府の国会同意人事案を賛成多数で可決し、次期副総裁に岩田学習院大教授と日銀理事の中曽両氏を充てる人事案も賛成多数で可決し、本日の参院本会議で承認される見通しである。依然として、日銀の積極的な金融緩和策への期待を背景に、株高と円安期待は根強いものがあり、ドル円の下値は限定的と言わざるを得ない。ただ、ドル円95円やユーロドル1.3000前後が適正水準との見方も少なくなく、当面、上記レベルで試行錯誤が続く可能性が高いだろう。
他方、来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定される中、米金融緩和政策は維持されるとの見通しであるが、米景気回復期待が急ピッチで強まっている関係上、米金融緩和の早期縮小シナリオが意識されている。それ故、株式市場は一旦清算局面入りするとの見方も観測されるなど、株高による円売りの恩恵もやや希薄になっている。当面、ドル円は95〜97円のレンジ幅で売買を模索することが一考であろう。