NYダウ史上高値更新中も息切れ感!
世界的な金融緩和への期待が高まる中、NYダウは史上最高値を更新中であるが、米国債利回りが上昇過程にあるように、資金流動性は債券市場から株式市場へと大きく傾斜していることが鮮明になりつつある。その中、日経平均株価は円安やNYダウの高騰などに支えられて底堅い展開を見せている。ただ、流石に、アベノミクスに対する過剰期待を踏まえて、市場参加者にも高値警戒感を背景に利益確定売りが随所に散見されるなど、やや伸び悩みの兆候を見せていることは否めない。
一方、昨日、米商務省が発表した2月の小売売上高は、季節調整済みで前月比1.1%増と予想を上回る強い結果となったことを受けて、ドル買いに安堵感を与えている。また、個人消費の強さは確認されたことから、雇用情勢が改善に向かうとの思惑が働き、市場の一部では年内にもFRBがQE拡大を縮小停止するとの見方も少なくない。また、米財務省が発表した2月の財政収支の赤字額は前年同月比12.1%減と市場予想を下回るなど、米国経済の回復期待が急速に拡大している。
いずれにしても、米国主導の景気回復期待は、デフレ脱却に躍起になっている日本経済、そして、財政危機問題を抱えているユーロ経済にとっては好ましい状況であるが、反面、米国にとっても、本格的な景気回復にはドル安も大事な要素であり、加速的なドル買い相場にはなりにくい側面もある。当面、ドルのもう一段の上昇局面においては、戻り売りを一考することが賢明であろう。