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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドル売りは赤信号が点滅!

米経済指標の悪化材料はすぐにでも米ドル売りを誘発させる状況であるが、ドル円が112円台に突入したことにより、どうしても、110円割れまでも連想させる相場でもある。そして、マーケットの縮図とも言われる投機筋のIMMシカゴ先物通貨にも変化が生じているように、ゼロ金利の日本円がロングにまで転じたことが、現状の米ドル信頼感の欠如によるものである事は間違いない。しかしながら、米ドル全面安がオーバーシュート気味に推移していることも認識しなければならず、安易な米ドル売りには賛成できない局面である。
▲今回の米ドル安が、FFレート金利打ち止め感から発生した事は間違いないが、スノー米財務長官の雇用に対する強気な発言もあったにもかかわらず、先週の米雇用統計の悪化が、米ドル売りに拍車をかけたとも言える。総じて、米ドル売りが加速する状況は揃いつつある事は否定出来ないが、人民元の切り上げ問題にも直面している相場としては、ある程度の円高思考が含まれた段階でもあり、余りにも性急な円高先取りにはリスクが増大する。
▲米ドルの下落基調に対して、渡辺財務官がG7の声明文は米ドルの下落は望んでいないと述べ、マーケットが誤解していると釈明しているが、おそらく誤解しているのは本人なのかもしれない。G7の意志では決められないのが本来の柔軟性のある為替相場でもあり、裏を返せば、意図的な為替操作をしてきた日本政府の発言でもあり、財政的にも、現段階のデフレ脱却局面では、最も実施したくないオペレ-ションが、日銀介入操作でもあり、ドル円110円を過剰に意識した発言としか思えない。
▲今週のメインイベントは10日のFOMC政策金利となるが、すでに織り込まれている利上げで、最終章の可能性が高いFFレート5%を迎えるわけであるが、双子の赤字を抱えながら、特に削減対策も講じられない米国としては、ある程度の米ドル売りが先行するのはやむを得ないが、米ドル離れを更に加速させるわけには行かず、金利の打ち止め感を打ち出すよりも、利上げの可能性も残す見解も想定する必要はあるだろう。

*******今週のペットでも判る簡単チャートSummary********
作成年月日 2006年5月07日(日) 
週末の終値ベースで事前予測実施中
米ドルの下落基調が鮮明であるが、売られすぎの兆候が全通貨に見られる。
今週も想定外の速さで、米ドルの歪みが発生している。米ドルの調整買いが生じやすい局面であるため、リスクも増大するが、逆張りによるチャンス到来局面でもある。

ドル円 112.50 様子見へ【ユーロドル⇔ユーロ円】
先週113円台では弱めの買いシグナルが点灯していたが、今週は様子見レベルに達してい
る。まだ見極めるほどの歪みが生じていない。相対的には米ドルの買い基調であるが、
少なめの始動に徹することが肝心である。

ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅24円 現状乖離幅30.70←29.70円)
先週は強めの売りシグナルが点灯していたにもかかわらず、更にドル安が進み、現状でも1.2729の強い売りシグナルが点灯している。以下は一週間ごとの売買シグナル(事前予測)。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り←1.2030買い→1.2124売り→1.2269売り→1.2096買い様子見→1.2340売り→先週1.2627売り

豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅25.65←27.40)
先々週0.7440で売りシグナルと共に、ポジション解消局面であったが、先週も0.7592
で様子見レベルが続いていたが、今週は0.7720で売りシグナルが点灯中。

NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅37円 現状乖離幅40.25←41.20円)
乖離幅がなおも縮小中ではあるが、0.6422で買いシグナルは点灯中であるが、
今までのポジションを整理する意味でも、売りを一考するレベルに達している。
週ごとの買いシグナル0.6082の買い→先々週は0.6334の買い→先週は0.6380の買い。

カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅17円 現状乖離幅10.75←11.90)
今週もカナダドルの強さが目立つ展開であり、乖離幅も引き続き縮小中である。
未だに強い米ドル買いシグナルが1.1057で点灯しており、最終段階に達している。

ポンド(ドル円x2−£円平均乖基準離幅25円 現状乖離幅15.85←20.00円)
乖離幅が急速に縮小している。4月中から5円ごとの縮小が続いている。
ちなみに乖離幅の推移を並べると30円→25円→20円、そして今週は15円台に突入
している。先週の売りシグナル1.8242に続き、今週は強い売りシグナルが1.8591
で点灯中。

スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅20.75←22.00円) 
乖離幅の縮小が顕著であり、買いシグナルが先週の買い1.2390に続き、今週も1.2261で点灯中である。

豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅9.00円)14.60←13.80)
近来ないほどの乖離幅に拡大しているが、この10年間おける統計でも15円までの拡大は限られており、先週に引き続いて、15円前後の乖離が生じれば 豪ドル売り・NZ円買い局面である。
過去週間の推移は9.30→10.80→10.75円→11.80円→11.90→13.95→13.05→13.80

単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&260円以上は円安の目安) 
過去の平均は2月中258.80 3月中257.83 4月中260.42
先週は143.70+113.80=257.50、今週は143.20+112.50=255.70となり、目標の255円割れが生じれば、円高とみなして、ドル円買い+ユーロ円買いに妙味がある。

欧州通貨ペア(1週間毎の過去の経緯)

ユーロポンド『平均乖離65円 現状乖離幅65.95←63.90円』
0.6941→0.6905様子見→0.6974→0.6939→0.6915→0.6924→0.6922→今週の0.6846でも売りは継続中であるが、一部利益確定の買いも考慮すべき。

ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅51.45←51.90円』
下記のように売りが継続されていたが、先週末にポジション解消局面が到来。1.5607の買いでポジション解消し、その後は様子見に転じている。
1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り←1.5742様子見→1.5725様子見→1.5744→1.5653売り継続中

ポンドスイス『平均乖離25円 現状乖離25.65←24.00円』
今週は平均乖離幅に接近しており、未だに2.2795レベルで買い継続中であるが、一部利益確定の売りも可能である。
2.2986売り→2.2763買い→2.2641買い→2.2846売り→2.2670買い→2.2684買い継続→2.2742→2.2735買い継続→2.2614買い 

HP 新外為の森 参照
★本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの
始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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