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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

強調材料乏しい!レンジ相場で注視?

イタリアの政局不安は、依然として、混迷をきたしている中、昨日行われた総選挙後初のイタリア債入札は利回りが0.5%ポイント程度上昇したものの、応札倍率は1.654倍と旺盛な需要となったことが好感され、欧州財政危機懸念はやや一服している。その中、予想を上回るユーロ圏経済信頼感指数や米住宅関連指標を受けて、NYダウ平均が大幅上昇したことを受けて、ユーロドルは1.31台まで買い戻され、また、ドル円も92円台へと円売りに波及するなど、相対的にポジション解消売買が優先されている。

一方、バーナンキFRB議長は上院に続き、下院で行われた議会証言でも緩和姿勢継続を強調、FRBの景気浮揚策を強く擁護したことが材料視される中、NYダウが再度14,000ドル台まで反発しており、本日の日経平均株価への期待感も含めて、市場は円売り志向に傾斜している。ただ、ドル円93円前後では利益確定売りや実需売りが控えている関係上、戻りは限定的とみなすことが一考であろう。

他方、ユーロ圏ではドラギECB総裁が講演で、ユーロ圏の回復は極めて緩慢だが下期には始まるとしたほか、ECBの行動はユーロを防衛し、経済回復に伴いECBバランスシートは自然に縮小させ、恐らくECBが行動する必要はないとした上、出口戦略の検討にはほど遠いと述べていることもユーロの買い戻し要因の一つになっている。ただ、ドル円と同様にレンジ幅の域を脱しておらず、当面、1.3050〜1.3250のレンジ相場で戻り売買に専念することが得策であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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