円安論争一段落!不完全燃焼?
円安誘導に関する話題がマーケットを揺さぶる中、先のG20財務相・中央銀行総裁会議において、当局者や各国要人の発言が相次いで伝わっている。協議終了後の会見では、声明めぐる協議で日本を名指しせずとの文言を背景に円売りが再燃している。声明文では先のG7の声明は盛り込まず、急激な変動を回避するとし、これまでのG20の文言が引き継がれる見通しが明らかになっているが、依然として、先進国と新興国の通貨戦争のギャップは埋まってはおらず、今後も世界的な通貨安競争に対する課題は残されているのが実状であろう。
一方、ラガルドIMF専務理事が通貨戦争の話題は大げさ、公正価格からの大きな歪みはないと見解を示し、ユーロの上昇や円の下落は歓迎すべき政策の展開であり、日本の緩和的な金融政策を歓迎する旨を強調するなど、本邦の金融緩和に理解を示したことが円売りを後押ししている。また、G20に参加した麻生財務相は、新興国側から先進国政策の波及効果に留意すべきとの意見が寄せられたものの、日本の政策の説明に対して賛成とか反対とか特に意見はなく、円安は政策の結果として起こっていることを主張している。
他方、米2月NY連銀製造業景況指数が発表され、結果が市場予想を大きく上回ったことが加わり、ドル円は93円半ば近辺まで上昇、そして、ユーロドルもラガルド専務理事の発言に続き、レスラー独経済相が現在のユーロ相場はドイツ輸出に影響ないとの見解を示したことに反応し、ユーロドルは一時1.34台まで迫る展開を見せるなど、為替市場は全般的に落ち着きを取り戻している。当面、ドル円は92.00〜95.00円、そして、ユーロドルは1.3200〜1.3500のレンジ幅で推移すると思われるが、加速的な通貨安に歯止めがかかり易いであり、当面、ドル円95前後が相場の大きな節目になる可能性が高いだろう。