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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドル売りの単純発想は終了! 米ドルの巻き返しも考慮すべし。

先週はバーナンキFRB議長の議会証言における、米金利の利上げ休止の一言に尽きる週であった。今週はその米金利の打ち止め観測を布石にした相場展開となるが、米経済指標を眺めながら再確認したい相場でもある。すでに、IMMシカゴ通貨先物を見ても、米ドルショートがかなりの勢いで拡張しており、投機筋のポジション調整が進んでいる状態である。 ポジション解消の動きと見るべきか、それとも米ドル売りにさらに拍車がかかるかを見極める大切な時期でもある。
総じて、米ドル売りの流れを止めさせる要因もないことから、相対的には米ドルの上値の重さを再確認した段階であるが、10人に聞けば9人までが米ドル売りと答える状況であるが、それほど安易な相場ではない。113円台に突入しても、即110円を目指す展開でもなく、思考錯誤の売りに転じ始めているのが実体であろう。しかし、当面はドル円の上値の重さは変わらないが、115円台近辺までの戻り期待も捨てきれない相場である。
▲余りにも想定外の速さで米ドルの下落を見せただけに、米ドルの反動も予期する必要性は生じている。これだけマーケットのセンチメントが米ドル売りに傾いている状況でもあり、短期間における米ドルの売られすぎ現象によって、相場の歪みが矯正されても不可思議ではなく、もう一段の売りが生じれば、買戻しにも妙味が生じる。
双子の赤字を背景にして、原油価格高騰、中東情勢、そして人民元切り上げと米国の取り巻く環境が、あらゆる面でマイナス思考に陥りやすい悪材料ばかりでもあり、そして、唯一の米ドル支援材料である金利が立ち往生するようでは、米ドルショートがマーケットのコンセンサスであろうが、9割以上が投機筋の売買とも言われる為替相場には通用しないことも多々ある。米ドルの悪材料に敏感に反応するマーケットでもあるが、あくまでも段階的なシナリオである。これからの米ドル急落は世界経済にとってもマイナス要因となるため、逆に金利打ち止め感がNYダウには好影響をもたらしており、米経済指標の盛り返しにも注意を払わなければならない。これからは金利をテーマにした米ドル売りに頼る事はリスクが生じると考えた方が賢明であり、金利打ち止めはあっても、当面は5%以上の高金利を維持するだけに、事が何も生じなければ、ポジションの買い戻しも充分に考えられる相場でもあり、まだ米ドル売りが加速すると見るのは時期尚早であろう。
▲今週は各国の政策金利も発表される、一部では利上げの噂もあるようだが、基本的には
豪州、英国、そしてユーロ圏も据え置きが予定されており、予断は許せないが、金利面でのデメリットは米ドルには感じられないが、来週には注目のFOMCの利上げが実施されるだけに、慎重な中にも米経済指標の好調さも意識しなければならない。そのためには週末の米雇用統計に再び関心が寄せられることになるが、米スノー米財務長官も雇用に関しては強気な発言を保っており、米ドルの買い戻しが生じた際の売りに徹した方が賢明な相場でもある。

*******今週のペットでも判る簡単チャートSummary********
作成年月日 2006年4月30日(日) 週末の終値ベースで事前予測実施中
先週の初めは米ドルの下落基調から、相対的に様子見圏内に突入した通貨が多く見られ、次の歪みを待機する段階であったにもかかわらず、米金利の打ち止め感が表面化した結果、想定外の速さで相場の歪みが形成されている。もう一段の米ドル下落基調も考慮した上で米ドル買いにもチャンス到来と言える相場である。

▲ドル円 113.80 買い 【ユーロドル⇔ユーロ円】
先々週118.65の売りから始まったドル円売り推奨が、先週は116.60の利益確定局面を迎え、一時ポジションの解消を見たが、急劇な売り攻勢で、売られすぎののシグナルが点灯している。少なめの買いから始動。

▲ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅24円 現状乖離幅27.30→29.70円)
先週の弱めの売りシグナル1.2340から今週は一気に、強めの売りシグナル1.2627が点灯している。以下は一週間ごとの売買シグナル。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い
→1.2124売り→1.2269売り→1.2096買い様子見→1.2340売り→1.2627売り。

▲豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅29.85→27.40円)
週ごとの買いシグナルが、0.7085→0.7166→0.7261→0.7282と連続していたが、先週は0.7440で売りシグナルと共に、ポジション解消局面であったが、乖離幅の縮小が続いており、現状でも0.7592レベルでは様子見が正解である。弱冠売りシグナルが点灯中であるが、もう少し乖離幅を見極めてからの始動が正解である。

▲NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅37円 現状乖離幅42.75→41.20円)
乖離幅が縮小中ではあるが、依然として買いシグナルが点灯中。
先々週0.6082の買い→先週は0.6334の買い→今週もまだ買いシグナルが0.6380で点灯中。状況判断が難しいが、一部利益確定の売りも考慮されたい。

▲カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅17円 現状乖離幅14.10→11.90)
先週は1.1375の買いシグナルであったが、一気に乖離幅の縮小となり、1.1168の強い買いシグナルが点灯している。第二ステップの買いとしては妙味が増している。

▲ポンド(ドル円x2−£円平均乖基準離幅25円 現状乖離幅25.40→20.00円)
先週は乖離幅が基準値に急接近し、先々週の1.7509で買シグナルから、先週のポジション解消売りシグナルが1.7822に点灯していたが、今週は再びポンドの上昇が急であり、ポンドの売りシグナルが早くも1.8242で点灯している。

▲スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅25.20→22.00円) 
先々週の1.2988の売りシグナルから、先週は1.2757レベルで買いシグナルが点灯し、ポジション解消をみたが、今週は米ドルの下落が目立ち、再び米ドルの買いシグナルが1.2390で点灯している。
★豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅9.00円へ改訂)12.90→13.80)
先週は一時縮小したものの、まだ不安定な状況が続いている。米ドルの下落からを見て、そろそろ安全圏に突入しており、14円の乖離幅があれば、リスクも限定的であろう。
豪ドル売り・NZ円買いを勧める
過去数週間の推移は9.30→10.80→10.75円→11.80円→11.90→13.95→13.05
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&260円以上は円安の目安) 
過去の経緯2月中の平均258.80 3月中の平均257.83 4月中の平均260.42
(260.40→261.40→262.30→260.50→今週は143.70+113.80=257.50
263円ではドル円売り+ユーロ円売り⇔255円以下はドル円買い+ユーロ円買い。

● 欧州通貨ペア(1週間毎の過去の経緯)
▲ユーロポンド『平均乖離65円 現状乖離幅63.90→63.90円』
0.6941→0.6905様子見→0.6974→0.6939→0.6915→0.6924→0.6922売り継続
▲ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅52.50→51.90円』
1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り←1.5742様子見→1.5725様子見→
1.5744→1.5653売り継続中
▲ポンドスイス『平均乖離25円 現状乖離25.00→24.00円』
2.2986売り→2.2763買いクローズ→2.2641買い→2.2846売りクローズ→
2.2670買い→2.2684買い継続→2.2742→2.2735買い継続→2.2614買い 
* 新外為の森 参照*****************************
●本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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