ドル円95円台視野に!道のりは厳しい?
白川日銀総裁が4月8日の任期満了を待たずに3月で辞任する意向を表明したことで、市場は再び円安に振れている。次期日銀総裁には日本政府の意向を重んじる金融緩和推進派が選ばれる可能性がより高まったことが円売りを誘引している。
一方、政府主導による金融緩和策は既に織り込み済みであり、後任人事を背景とした円安効果は懐疑的との見方も少なくないが、円売り機運の高まりは無視できず、好調な株価推動向を睨みながら、ドル円の大きな節目である95円が視野に入っていることは間違いないだろう。それ故に、ドル円は引き続き底堅い展開になることが予想されるが、先の金融政策決定会合で、白川日銀総裁はインフレターゲット2%の目標や資産買入基金による無期限の資産買い入れを決定した矢先なだけに、違和感の残る辞任劇と言わざるを得ず、円安への過剰期待は自重することが賢明かもしれない。
他方、クロス円の上昇も手伝い、ユーロドルは底堅い展開を見せているが、格付け会社フィッチがオランダの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更したことが伝わるなど、ユーロの上昇に一服感が生じている。昨日報じられたイタリア銀行のデリバティブ取引に絡む巨額損失問題やスペインの政局不安に対するユーロ売りは一服している模様であるが、相変わらず、不安定な上昇局面にあるといわざるを得ない。また、ECB理事会での政策変更は無いとの観測が強まったこともユーロをサポートしているが、直近のユーロ高のみならず、円安に対しても、米欧当局が何らかの行動を取るとの見方が浮上するなど、両通貨ペアーともに波乱含みの展開が予想されるだけに、通常よりはレンジ幅を拡大して売買を模索することが賢明であろう。