反動売り優先!ドル円・ユーロの下値は限定的?
スペインやイタリアの政局不安が材料視される中、ダウ平均は129.71ドル安、そして、為替市場では損失確定買いから利益確定売りに一変する形で、ドル円は93円台から、そしてユーロドルも1.37台から失速する格好となり、市場は混迷を極めている。
ラホイ・スペイン首相と与党国民党が、企業献金から不正に資金を受領していたとの報道や月末に総選挙を控えるイタリアで、ベルルスコーニ前首相率いる中道右派が、減税や政府コストの削減を公約に掲げて支持率を上げており、不透明感を高めていることなどが材料視されている。その後、ラホイ首相はメルケル独首相との会談、記者会見で自身の疑惑を否定しているものの、直近のシカゴIMM通貨先物市場におけるユーロロングの拡大、そして、過熱感が生じていたユーロ高に警戒感を強めていた矢先なだけに、反動売りが市場を席巻する格好となり、ユーロドルは1.35割れ寸前まで調整色を強めている。
一方、欧州債市場でも、スペインとイタリア国債利回りが上昇する中、スペイン10年債利回りは7週間ぶりの高水準となる反面、米独の国債利回りが低下するなど、リスク回避の動きが再認識されている。ただ、危惧されている欧州財政危機問題とはかけ離れており、当面、ユーロドル1.35割れからのショートは自重することが一考であろう。
他方、ドル円は、スペインとイタリアの政情不安を背景に、リスク回避に伴う円買い圧力が強まる中、ドル円93円台の達成感から利益確定売りに押される展開ではあるが、ユーロ全面安の影響がクロス円全般にも波及しており、上値の重さを意識せざるを得ないが、ユーロと同様に、ドル円92円割れからのショートを自重し、引き続き、91〜93円のレンジ幅で売買を模索することが賢明であろう。