天井知らずの円安!息切れ?
先週末に米労働省が発表した1月米雇用統計は、失業率 は7.9%と、昨年12月の7.8%から悪化し、また、非農業者雇用部門(NFP)は予想をやや下回る内容ではあったが、前回分が大幅に上昇修正されことを受けて、リスク選考型で円売り・ユーロ買いに拍車がかかっている。
一方、NYダウ平均が2007年以来の14,000ドル台に上昇するなど、米先行き景気に対する楽観的な動きが広がり、ドル円は93円台を窺う展開を見せている。また、ユーロドルはスイスフランの急落などを背景に、リスク回避によるユーロ買いが加速したことが加わり、一時ユーロドルは1.37台へと上昇、そして、ユーロ円も連れ高の様相を呈している。
他方、今月中旬にモスクワで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議を控えて、市場には、競争的な通貨安をめぐる論争が高まっているが、欧米に続いて、ロシアの中銀関係者からも、日本の金融政策は「保護主義的な金融政策」であるとの声も聞かれている。すでに、ドル円は安部新政権の誕生以来、すでに10円以上、ユーロ円は20円近く、そして、豪ドル円も10円以上円安に振れている現状を踏まえると、円安批判に各国が強硬姿勢を示しているのも無理がないところかもしれない。反面、麻生財務相がデフレ脱却に向けて、1930年台の高橋是清蔵相の対応策をモデルにしていることを明らかにしているが、実体経済を伴っておらず、国際社会では相受け入れない説得力に欠ける発想と言わざるを得ない。
その他では、イタリア銀行3位のデリバティブ取引に絡む損失が発覚したしたことを受けて、他の大手銀行にもデリバティブ取引に関する疑惑が持ち上がり、イタリア当局は捜査に乗り出していることが報じられるなど、一方的なドル円、及びユーロの上昇に歯止めがかかりやすい外部環境であり、相対的に為替相場は難易度を強めている。