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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

アベノミクス効果の限界点⇔ドル円90円?


昨日は、相対的に日銀の金融緩和に対する失望感から円を買い戻す動きが優勢であったが、安部新政権が経済再生に向けて、改めて意欲的な姿勢が見直され、再び円売り志向が徐々に強まりドル円88円割れは回避されている。

一方、IMFは世界経済見通しの改定を発表、ユーロ圏債務危機の再燃や、米政府による過度な財政緊縮などをリスク要因に掲げ、2013年世界経済成長率予想を従来の3.6%から3.5%へと下方修正する中、特にユーロ圏はプラス0.2%からマイナス0.2%へと大幅に下方修正されており、ユーロドルは1.33台半ば近辺から一時1.32台半ば近辺まで上げ幅を解消するなど、依然として、方向感に乏しく、1.33前後での攻防を強いられている。また、IMF当局によれば、日銀が2%の物価上昇率を新たに目標と明確に定め、より野心的な金融政策を掲げたことを歓迎しているものの、日本の財政赤字が対GDP比100%を大幅に超え、財政再建の明確な計画ない中、赤字拡大は危険と指摘していることが円売りを後押ししている。

他方、日米欧の金融追加策が顕在化する中、ドル円は90円前後から、また、ユーロ円も120円台から2円程度下落するなど調整段階に突入としている。そして、本日早朝に発表された去年の貿易赤字が過去最大の6兆9,273億円を記録、ドル円は引き続き88円前後では底堅い展開が予想される。

補足的になるが、アベノミクスによる円安効果は90円台までが精一杯の感は否めないが、今後、貿易赤字拡大に加えて、無制限の国債乱発による国債信用力の低下により、更に円安が加速する可能性もある。ただ、日本経済にとっては、デフレ対策に悪戦苦闘する中、原油価格の上昇や加速的な物価上昇などを踏まえると、仮に、ドル円95円前後ともなれば、手放しでは喜べない悪い円安相場になりかねないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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