大胆な金融緩和 VS 円安誘導批判!ドル円89〜90円のレンジ幅での攻防?
昨日は米国が祝日のため、相対的に手掛り難の中、ドル円は90円台から失速気味に89円半ば前後まで下落している。市場は本日の日銀金融決定会合の結果を見極めたいとの動きが優勢ではあるが、既に2%のインフレターゲットや資産買入れ基金の10兆円程度の増額などが織り込まれている関係上、材料出尽くし感を踏まえた円買いがやや先行している。そして、初日の会合後には、麻生財務相・甘利経済再生相と白川日銀総裁による共同会見が実施され、共同文書に上記に2%のインフレターゲットが明記されるとの見通しが伝えられており、相対的に積極的に円買いを進行させる難しさもある。それ故に、ある程度の乱高下を見込む必要性から、89〜90円のレンジ幅で待機せざるを得ない相場環境にある。
一方、欧州圏では、バイトマン独連銀総裁が中銀の役割を拡大し大胆な緩和政策を迫ることは、各国の競争的な通貨切り下げを招くリスクがあると指摘する中、同総裁は日本政府が日銀に更なる金融緩和を迫ったことは、日銀の独立性を危険に晒していると言及している。そして、他の主要国も同様に、日本政府主導による円安誘導を批判的であるため、これまでの急ピッチの円売りに歯止めがかかりやすい状況になっている。
他方、先にスイス国立銀行(中央銀行)が2011年9月に設定した1ユーロ=1.20フランの上限を変更したとの報道により、ユーロドルは1.33台を維持しているが、昨日、キャメロン英首相は、EUがユーロ圏債務危機、競争力の低下、国民の支持の低下という3つの問題に対処しない限り、欧州のプロジェクトは頓挫すると警告、英国はEUから離脱する可能性がある旨を指摘したことを受けて、ポンド売りが加速し、ユーロの下支え要因になっているが、欧州の財政危機が顕在化している以上、ユーロを更に買い上げる状況には至っておらず、依然として、上値の重さが意識されている。