政府と日銀は次回会合で物価目標2％目指し無制限緩和策を検討する中、一部報道によれば、日銀が当座預金の付利撤廃も検討しているとの旨が伝えられたことを受けて、円売りが再燃している。その中、ドル円・クロス円が上昇、ドル円は2010年6月以来の90円台をつけている。そして、甘利明経済再生担当相が過度の円安を懸念する発言は正しく解釈されていないと述べたことも円売りを後押ししている。ただ、ドル円90円台では達成感と共に、ポジション解消や実需売りに圧されて伸び悩んでおり、次回日銀金融決定会合の動向に委ねられている。

一方、米国の雇用・住宅関連指標の内容が良かった事から、米国経済に対する安堵感が広がると共に、NYダウは堅調に推移、株高・円安が進行している。また、ユーロ圏ではスペインの入札結果がおおむね好調となったほか、欧州の金融機関がECBからの融資を返済し始めるとの観測が浮上しており、相対的に欧州問題に対する楽観的な見方が広がったことを受けて、ユーロドルはユーロ円の上昇も踏まえた格好で底堅い展開になっている。

他方、米自動車大手3社（ビッグスリー）で構成する米自動車政策会議は、過度な円高是正対策を掲げている安倍新政権に対抗措置を講じるようにオバマ大統領に要請するなど、政府主導の円安批判が浮き彫りになりつつあり、ドル円並びにクロス円相場は正念場を迎えつつある。当面、ドル円は90円前後での攻防が予想されるが、現状では下値も堅調であるが、上値も重い展開を強いられており、総じて動きづらい状況にあるが、89〜90.50のレンジ幅で売買を模索することが賢明であろう。