要人発言で迷走!ドル円・ユーロ共に上値の重い展開?
ドル円相場は甘利明経済再生相が過度な円安懸念に言及したことが嫌気される中、円の買い戻しが優先されている。また、ユーロ圏においても、ユーロ圏財務相会合のユンケル議長がユーロの為替レートは「危険なほど高い」と述べたことにも反応、ユーロドルは戻り売り圧力が強まるなど、市場は要人発言に揺さぶられる展開を強いられている。
一方、ドル円は安部新政権への期待感を背景に円売りが加速してはいるが、90円台を目前にして、実需や利益確定売りなどが散見されるなど、調整段階に突入しており、当面、来週の日銀金融決定会合の動向を見極めるまで上値の重い展開が予想される。そして、ユーロも先週のドラギECB総裁の会見を受けて利下げ観測が後退したことから、ユーロの買戻しが優先されているが、ドイツ政府が発表していたGDP暫定値では、0.5%程度のマイナス成長に落ち込んだ可能性が高く、ユーロ圏の先行き景気に対する不透明感が依然として、根強いことが改めて認識され、ドル円90円と同様にユーロドル1.34前後での息切れ感は否めず、両通貨ペア共に、戻り売りに傾斜している。
他方、世界銀行は2013年の世界成長見通しを下方修正し、相次ぐ緊縮政策、高い失業率、企業景況感の低迷などが先進国経済の重石となっており、今年の世界経済の成長率を2.4%と下方修正している。その中、日本の成長率予想は半分に引き下げるなど、安部新政権への期待に相反する格好でアベノミクスの過剰期待に疑問符が生じている。