金利は脇役へ、原油価格が主役でドル円100円も!
米中首脳会談、及びG’7などの一連の行事は終了したが、基本的には為替相場には特に影響を及ぼさず、当り障りのない、いつもの会合と化してしまったが、先週の話題は原油価格に尽きると言っても良いだろう。
米中首脳会談の直後でもあり、G’7では次の打つ手がなかったのも事実であろうが、米利上げ早期打ち止め観測が広がっている最中に、絶妙なタイミングでスウェーデン中央銀行は外貨準備の構成比率を変更し、ドルの比率を37%から20%へ引き下げ、ユーロの比率を37%から50%に引き上げたことが、米ドルの売り圧力が更に増していると言える。その上に、原油価格が75ドル台まで上昇すると、投機筋の過熱感が想定以上に重くのしかかるだけに、今週も波乱含みのスタ−トにならざるを得ない。
▲各国が懸念するのは原油価格のみならず、米国主導の世界経済の今後でもある。米国のもたつきが表面化すれば、米ドル対するリスク回避策として、米ドル離れに拍車がかかるのが、自然の流れである。そして、今後も米ドル資産を有する各中銀及び、中東マネーの行き所が米ドルから遠ざかる事態は避けられないのかもしれない。為替相場を左右してきた日米欧の金利動向も一巡し、実体経済に直結する原油価格が一気に主役に踊り出た感も否めず、当面は原油価格の動向に配慮しながらの相場展開が賢明であろう。
▲いずれにしても、市場の関心事は原油価格の今後であり、一部では1バレル100ドル説もある。昨年の今ごろは50ドル前後であったことを考えれば、不可能とは思えない数字ではある。原油価格とドル円相場のアングルを変えて、この4年間の原油価格の上昇度合いと当時のドル円で比較検討すれば、下記のような推測も成り立つ。
2002年4月 1バレル23ドル ドル円132円 3,036円
2003年4月 1バレル30ドル ドル円119円 3,570円
2004年4月 1バレル33ドル ドル円106円 3,498円
2005年4月 1バレル49ドル ドル円107円 5,243円
2006年4月 1バレル75ドル ドル円117円 8,775円
原油価格が今後も75ドルを推移するとしても、1バレル6,000円と仮定すれば、ドル円が80円の円高になっても不思議ではない。それだけ、現状のドル円相場117円前後が異常な円安局面として捉えることも可能であるし、同時に75ドルの原油価格の異常さも理解できることになる。そして、近い将来、原油価格が落ち着き、1バレル60ドルと6,000円を想定するとドル円100円の円高局面が遠くはないのかもしれない。
現状のような、レンジ相場の中で、日々2~3円の円高、円安を論じている間に10ドル以上も上昇したように、現実には米ドルの威厳が無くなっている証でもあり、為替相場から観点では、実質的な米ドル安が進行していることになるため、米ドル離れに傾斜するのが市場の流れとも言える。
▲今週の米経済指標も注意をしなければならないが、週初のトリシェECB総裁の講演に始まり、バーナンキFRB議長をはさみながら、福井日銀総裁も控えており、予断が許せない状況が続く。金利動向の言及には慎重な3者であるが、政府主導の金融政策でもあり、中央銀行としての独自性も薄れているだけに、市場参加者の迷走を余儀なくさせる。依然として、難易度の高いレベルの相場である。
そんな時には、絶好調の下記のペットチャートをご覧ください。
*******今週のペットでも判る簡単チャートSummary********
作成年月日 2006年4月23日(日)
今週は原油価格の高騰と米ドル離れが進行し、米ドル売りの調整局面でもあっただけに、
総体的には売り買いとも様子見相場に向かっている。強い売買シグナルが示されておらず、
ポジション調整局面とも言える相場である。相場の歪みを待ってからの始動であり、少な
目の売買で流れを掴むことに専念することを勧める。
▲ドル円 116.60 買い 様子見へ【ユーロドル⇔ユーロ円】
先週推奨の118.65の売りから反転し、一時的にも利益確定の買いが正解である。
基本的には売りシグナルが点滅しているが、大きく米ドルショートに傾ける局面ではない。
▲ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅24円 現状乖離幅27.30←25.00円)
先週は様子見レベルであったが、米ドル売りが生じてきてからは一気にユーロドルの上昇
につながり、1.2340では売りシグナル点灯中。以下はい一週間ごとの売買シグナル。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→
1.2124売り→1.2269売り→1.2096買い様子見→1.2340売り。
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅29.85←32.25円)
先週までの連続的な買いシグナル0.7085買い→0.7166買い→先々週0.7261買い→
先週0.7282の買いシグナルであったが、先週末にはポジション解消の売りシグナルが
0.7440で点灯。様子見になっている。
▲NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅37円 現状乖離幅42.75←45.30円)
乖離幅が縮小中ではあるが、豪ドルほどは戻らず、依然として買いシグナルが点灯中。
先週0.6082の買いシグナルから引き続き0.6334で買いシグナル点灯中。
▲カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅18円 現状乖離幅14.10←15.60)
先週から弱めの買いシグナルが点灯していたが、今週は1.1375で通常の買いシグナル
が点灯している。
▲ポンド(ドル円x2−£円平均乖基準離幅25円 現状乖離幅25.40←29.55円)
乖離幅が基準値に接近。先週は1.7509で買いシグナルが点灯していたが、一気に売りゾーンに突入、今週は1.7822の売りシグナルが点灯中。
▲スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅25.20←27.30円)
先週の1.2988の売りシグナルから、一気にポジション解消レベルを飛び越え、買いシグ
ナルのゾーンに突入している。1.2757の買いシグナルが点灯しているが、弱めのシグナル
のため、少なめのスタートが好ましい。
★豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅9.00円へ改訂)12.90←13.05)
先週からは動きは限定的である。乖離幅14円前後を目標にすれば、現状レベルからのスタ
ートも可能である。豪ドル売り・NZ円買い
過去数週間ごとの推移は9.30→10.80→10.75円→11.80円→11.90→13.95→13.05
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&260円以上は円安の目安)
過去の経緯2月中の平均258.80 3月中の平均257.83
4月中(260.40→261.40→262.30→今週143.90+116.60=260.50.
263円ではドル円売り+ユーロ円売りに妙味あり。
●欧州通貨ペア(1週間毎の過去の経緯)
▲ユーロポンド『平均乖離65円 現状乖離幅63.90←64.10円』
0.6941売り→0.6905様子見→0.6974売り→0.6939→0.6915→0.6924売り継続
▲ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅52.50←52.30円』
1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り←1.5742様子見→1.5725様子見→
1.5744売り継続中
▲ポンドスイス『平均乖離25円 現状乖離25.00←25.05円』
2.2986売り→2.2763買いクローズ→2.2641買い→2.2846売りクローズ→
2.2670買い→2.2684買い継続→2.2742→2.2735買い継続
* 新外為の森 参照
★本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの
始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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