円主導の展開終焉近し!ドル円87円割れから押し目買いに妙味?
特筆すべき材料のない中、市場は今週10日に開かれるECB理事会の動向に注目が集まっている。先にドラギ総裁がインフレ見通しは均衡という文言を背景に金利据え置きが有力視されており、ユーロの買戻しに傾斜している。ただ、重債務国であるスペイン、ポルトガルなどの南欧諸国からは利下げ期待が根強く、利下げの有無如何でユーロの乱高下が予想される。
一方、米議会では債務上限引き上げなどをめぐる与野党の攻防が危惧される中、堅調地合いであった株価の上昇にも陰りが生じている。相対的に株高・円安の構図にも歯止めがかかりやすい展開が予想される。それゆえに、円主導による相場展開が終焉を迎えながら、ドル円は調整相場に陥る可能性が高く、当面87〜89円のレンジ相場で売買を模索することが一考であろう。
他方、安部新政権による景気刺激策や円安誘導が経済業界の後押しを背景に佳境を呈しており、遅かれ早かれ、ドル円90円台を目指す展開ではあるが、デフレ脱却には相当の時間を要し、同時に、金融政策の難航が予想されるため、市場には過剰期待を伴った株高・円安相場とも解釈できるため、現時点では一方的なドル円の上昇には繋がりにくい相場環境にある。その他では、菅官房長官が政府は物価上昇率の目標を示すアコード(政策協定)に関して、次の日銀決定会合で結びたい意向を示しているが、白川総裁の合意を得られるかは懐疑的であることもドル円の上昇を阻んでいる。