選挙後の円安効果一服!ドル円84円前後で一進一退?
自民党の圧勝劇により、新政権はデフレ脱却・円高是正を背景に日本銀行に対して、大胆な追加金融緩和を迫る見通しから円安期待が強まっている。ただ、衆院選挙後は円安の動きが一服するとともに、ドル円及びクロス円は広範囲に利益確定売りが優勢されるなど、市場は冷静さを取り戻しつつある。その中、ドル円は年初来高値に到達するなど、依然として、底堅い展開が予想されるだけに、当面、83~85円のレンジ幅での攻防が有力視されている。
一方、明日から始まる日銀の金融政策決定会合がキーポイントになるが、日銀はすでにインフレ目標を1%と唱える中、安部総裁が述べているインフレ目標2%に対して、どこまで協力体制を整えるかであろうが、財政難の折、無謀なインフレターゲットを設けたとしても実現性に乏しく、市場経済への影響は限定的との見方が少なくない。ただ、選挙前と同様に、それなりに円高対策や株式市場への相乗効果は期待できるであろう。
他方、米国ではオバマ米大統領とベイナー下院議長がホワイトハウスで財政の崖の協議をしていたが、協議は45分で終了し、合意に関する発表は何もないと述べ、協議はいまだに平行線であるが、年末に向けては何らかの結着を見なければならず、過度なドル売りは自重局面に差し掛かっている。
補足的になるが、日本経済が失われた20年の中、デフレ脱却や円高対策に向けて、追加金融緩和策が随時実施されているが、リーマン・ショック以来、世界経済の低迷が続いており、基本的には大胆な追加金融政策は必要ではあるが、赤字国債の乱発により、脆弱化した日本経済を更に圧迫する可能性もあり、また、政権交代のみでデフレ経済から脱却するほど生易しい問題ではないだろう。