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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドルの上値確認相場となるか、難易度は超A級のレンジ相場

●今週は経済指標も目白押しではあるが、中間には米FOMC議事録、米中首脳会談、そして、G’7の行事も控えており、又イラン情勢などの緊迫感も重なり、原油価格及び金価格の上昇も米ドルの今後を見極める材料となるため、今週は、かなり難易度の高い為替相場になることは間違いない。
経済指標では、日米欧の金利動向にも大きな影響がある各国の消費差物価指数も発表され、金利動向には敏感な指標だけに注目度は高いが、週初の17日は対米証券投資が+600億ドルが予測され、先に発表された米貿易赤字(657億ドル)を下回る段階でもあれば、週初からの波乱含みの展開も案じなければならないスタートである。
▲順をおっていけば、18日のFOMC議事録(3月28日)となるが、各FRB理事でも今後の継続的な利上げ観測には見解が分かれているように、以前よりは注目度が高まることは必至であり、かなり、今後の利上げに関しては、慎重論も一部では見られており、内容的には米ドルの上昇要因ではなく、下落要因として捉えるほうが賢明と言える。
そして、週末のG7を意識しながらの、20日の米中首脳会談ではあるが、将来的にはG’8への仲間入りを目指したい中国としても、米国の圧力には屈する姿勢は見せずとも、貿易不均衡是正に向けての始動は余儀なくされており、人民元切り上げた際の為替メカニズムの強化などを含めて、時期的な見解も米国側に提示することも充分に考えられる。その現われとも考えられるのが、先の人民元高8.00台に乗せであったかもしれないが、中国政府が出来る現状の為替相場の実体と抵抗とも言える。
即、人民元の切り上げに繋がらなくても、それなりの置き土産を米国側に用意するとみるのが妥当であり、近い将来的の段階的な切り上げの準備段階であることを考慮してもよいだろう。総じて、円高要因に傾く会談と見るべきであろう。
▲米経済の好調さもあるが、原油価格の高騰が更にインフレ懸念を呼び、当初予定されたFFレートの利上げサイクルに変調をきたしていることは否めず、さらに5%前後を境にした長短金利の逆イールド現象も控えているため、現状の金融政策の舵取りに直面しているバーナンキFRB議長と言えるであろう。市場では5%までの利上げは織り込まれてはいるものの、それ以降の利上げは白紙と判断した方が、相場展開を読み易くさせる。米国が更なる利上げの選択肢しか残されていないと考えると、米ドル高しかイメージできないが、すでに利上げ効果は為替には浸透しており、今後も利上げが生じても、過度上昇期待は禁物とも言える。
▲金利による米ドル高は金利の打ち止め感と共に消滅するぐらいの用意周到は必要な時期でもあり、双子の赤字削減には人民元高と円高は必須条件でもあり、日本政府としても、急劇な円高は困るが、輸出企業の採算分岐点とも言われる、110円に向けての対応は充分に意識しているものと思われる。要はFFレートの上昇期待が米ドルの生命線でもあるが、米ドル離れを起こさない感覚の中での金融政策の難しさが露呈する日も近いのかもしれない。待っているのは、ユーロドル高と円高のシナリオの可能性が高いが、まだまだ、レンジ相場が続く相場ではある。
▲オセアニア通貨には落ち着きが見られるが、まだまだ流動的である。豪ドルは、少々、失業率の改善もあり、利上げ期待もあるようだが、米ドルとの金利差を考えると投資対象としての不安は拭えない。スワップ狙いならば、85円以下にならなければ妙味はなく、利上げが実現してからでも遅くはない。NZドルにも同様なことが言えるが、利上げ期待のないNZドルは魅力が乏しい。一時的には持ち直しているが、損失確定が待ち受けている相場でもあり、上昇期待は禁物である。

*******今週のペットでも判る簡単チャートSummary********
作成年月日 2006年4月16日(日)
先週は今週の経済指標とイベントが目白押しでもあり、調製局面が多く見られ終了しており、比較的に売買シグナルも強いものは出ておらず、少な目のポジションでの売買を推奨する。
ドル円 118.65売り【ユーロドル⇔ユーロ円】
先週同様に、118円台では強めの売りシグナルが点灯している。119円台に乗せるような事態でも、ナンピン売りを想定して臨みたい。
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅24円 現状乖離幅24.80→25.00円)
先週から動きはなく、基本的には様子見が続いている、弱めの売りシグナル1.2107で点灯中と言えるが、もう少し乖離幅が拡大してから臨みたい。26円の乖離ならば、ユーロドルの売りシグナルが点灯する。一週間ごとの売買シグナルを列記すると。
1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売り→1.2030買い→1.2124売り→1.2269売り継続→1.2096買いでポジション解消。
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅32.40→32.25円)
豪ドルは不安定ではあるが、買いシグナルが点灯中、週間ごとには0.7085買い→0.7166→先週は0.7261買いシグナルが継続中、今週も0.7282でも買いが点灯中ではあるが、ポジション解消売りも視野にはいっており、一部売りで解消も良し。乖離幅が30円前後では豪ドルショートに転じる水準である。
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅37円 現状乖離幅46.35→45.30円)
不安定な動きが続くが、依然として買いシグナルが0.6082では点灯中であるが、乖離幅の見直し時期にあり、乱高下が激しく、少なめの買いに徹したい。
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅18円 現状乖離幅15.40→15.60)
売りシグナルが1.16台後半では顕著であるが、1.15割れには買いシグナルと狭いレンジでの攻防である。現状1.1514にも弱めの買いシグナルが点灯しているが、少なめのスタートを心がけたい。
ポンド(ドル円x2−£円平均乖基準離幅25円 現状乖離幅30.40→29.55円)
今週もまだ1.7509で買いシグナルが点灯しているが、先週のべたように解消レベル1.750台でもあり、一部解消売りも検討し、ターゲットは1.7550レベルか。
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅27.40→27.30円) 
乖離幅の動きは狭いが、リスク回避通貨として、売り買いのシグナルが1.3000を前後にして見られる、当面の売買シグナルとも言えるが、今週は1.2988でも弱めの売りシグナルが点灯中。
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅7.00円見なおし時期)13.95→13.05)
先週との比較では、14円前後から13円への縮小であり、依然として不安的な状態ではあるが、一時のピークが過ぎたと判断して、14円前後を当面の最大乖離幅としてもリスクは少ない。13円前後から少なめの再スタートも可能である。
過去数週間ごとの推移は9.30→10.80→10.75円→11.80円→11.90→13.95→13.05
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&260円以上は円安の目安) 
過去の経緯
2月中の平均258.80 3月中の平均257.83
4月中(260.40→261.40→先週末143.65+118.65=262.30と円安警戒レベルに突入
● 欧州通貨ペア(1週間毎の過去の経緯)
ユーロポンド『平均乖離65円 現状乖離幅63.10→64.10円』
0.6941売り→0.6905様子見→0.6974売り→0.6939→0.6915売り様子見継続
ユーロスイス『平均乖離50円 現状乖離幅52.20→52.30円』
1.5717売り→1.5775売り→1.5811売り←1.5742様子見→1.5725売り様子見
ポンドスイス『平均乖離25円 現状乖離24.40→25.05円』
2.2986売り→2.2763買いクローズ→2.2641買い→2.2846売り→
2.2670買い→2.2684買い継続中→2.2742買い弱め継続 
*新外為の森 参照(フリートライアル実施中)
★本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの
始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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