日米欧ともに難題山積!一進一退の展開?
欧州圏では、注目されたギリシャの債務削減策で一応の合意を得たものの、具体的な再建計画の詳細が玉虫色とも言える状況にあり、依然として、ギリシャ政府が削減目標の達成に必要な改革を実行できるかを疑問視している。市場参加者もユーロドル1.3000前後の上値の重さを意識しながら、積極的な買戻し志向は限定的になっている。
一方、米共和党のベイナー下院議長は年明けに減税失効と歳出の自動削減が重なる「財政の崖」問題をめぐる協議について、歳出削減が伴えば歳入について協議する用意があるとし、オバマ大統領との合意に楽観的な見方を示している。また、オバマ大統領も向こう数週間に歩み寄りできると期待しているとの考えを示したことからNYダウが上昇に転じるなど、市場にはやや安堵感が芽生えている。ただ、ベイナー下院議長は富裕層の増税には反対する姿勢をあらためて強調するなど、未だに最終合意に関しては紆余曲折との見方があり、財政の崖問題が短期的に解決されるとの根拠はない以上、市場のコンセンサスも財政の崖を楽観するには時期尚早との見方が大半を占めているのが現状である。
他方、連邦準備理事会(FRB)が発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)では、国内経済は過去数週間抑制されたペースで推移しており、雇用も引き続き控えめになっているとの認識が示される中、製造業部門は米財政の崖による政府歳出削減への懸念が一因となり、12地区中5地区の調査対象が2013年の見通しへの不安を訴えるなど、不安材料を払拭できない状況にあり、ドルを積極的に買い上げるまでには至っていない。