自民党政権公約→非現実的→民主党の二の舞?
日銀の追加緩和観測に加えて、10月の貿易収支が同月としては過去最大の赤字を記録したことにより、円売りが加速、ドル円は約7ヵ月ぶりとなる82円台半ば水準まで上昇を速めている。その中、ドル円に対する高値警戒感も生じており、神経質な展開が余儀なくされている。
一方、昨日は、次期政権を担うと見られる自民党の安倍晋三総裁は改めて政権公約を正式に発表する中、円高・デフレ脱却に最優先で取り組む考えを重ねて強調、また、日銀に対しては大胆な金融緩和への期待を表明するなど、日銀への圧力を強めていることが円売りを誘引している。ただ、衆院選挙を控えた政権公約なだけに、現段階ではマイナス金利導入や建設国債の購入、そして、インフレ目標3%達成など非現実的な側面が多々あり、政権交代に向けて大風呂敷を広げていると言わざる得ないのが現状かもしれない。
他方、ユーロ圏財務相、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)は20日のユーロ圏財務相会合でギリシャへの次回融資で合意できず、26日に先送りされているが、ギリシャが融資を受けられなければ無秩序なデフォルトに陥ることが確実視されているため、ユーロ上値の重さが意識されている。ただ、昨日、ドイツのメルケル首相が26日には合意が得られるとの見解を示し、欧州安定化基金などの支援によりギリシャが資金難に陥ることは回避できるとの見方を示したことで、相対的に市場に安堵感が広がりつつある。また、円安がユーロ買いを助長しており、下値懸念も希薄になっている。