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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

日銀総裁発言で過度な円安期待は沈静化?

日銀の超低金利政策の維持が決定される中、市場は来月16日の衆院選を前にして、安倍自民党総裁による追加緩和への期待などを背景に、海外勢を中心とした円売り志向は根強さを見せている。ただ、白川日銀総裁は昨日の記者会見において、日銀の独立性を強調しながら、デフレ克服にインフレターゲットを2〜3%とすることは無謀な論理であることを改めて反論している。
補足的になるが、たとえ、自民党が政権を奪回するにしても、景気刺激策の一環として、マイナス金利の導入や無制限の金融緩和措置は株価の上昇や円安に貢献するであろうが、最終的には赤字国債の増発が余儀なくされる。そして、国債の格下げは言うまでもなく、国債暴落に繋がる可能性が高く、結果的には急激な金利上昇をもたらし、日本国債を大量に抱えている本邦金融機関の収益源が消滅し、結果的には金融機関の破綻なども含めて、回りまわって日本政府の屋台骨を揺らがす可能性が懸念される。

一方、ユーロ圏では、ユンケル・ユーログ、ループ議長がギリシャめぐる財政危機問題は最終合意の可能性高いとの発言を背景に、一時、市場はユーロ買いで反応しているが、ドイツ政府の反対姿勢などを踏まえて、合意に関しての不透明感は否めず、上値は限定的にとどまっている。その後、ユーロ圏財務相会合の協議に関するヘッドラインは複数あるが、引き続き協議中との報道が伝わり、ユーロドルは1.28前後で試行錯誤が続いている。

他方、バーナンキFRB議長の講演において、「財政の崖」については脅威との認識が示されている。回復は継続しているもののペースは予想より遅く、失業率は経済の完全回復達成時の想定より依然高いとし、相対的に悲観的な見解に終始しており、不安定な株価上昇を背景にドルの上値の重さも意識せざるを得ないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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