円キャリー解消一巡!ドル円80円に向けて再始動?
市場の焦点が米国の財政の崖とギリシャの財政危機に集まる中、依然として、リスク回避の動きは根強く、米債券利回りの低下を促すと共に、逃避通貨であるドル買い並びに円買いに傾斜している。
一方、IMFはギリシャが債務を管理可能とするためにヘアカット(債務減免)を支持する姿勢を示している反面、ドイツなどが強く反発するなど混迷を極めているが、ギリシャ支援に関しては、IMFとEUとの間に温度差もあり、依然として、不透明感は否めない情勢にある。
一応、2016年にかけて、ギリシャ向けの追加支援が必要になる可能性との内容が示されているが、財政目標達成の2年間延長については、既に一部から反対との声も聞かれるなど、相対的にユーロにとってはネガティブな材料が事欠かない情勢が続いている。
昨日、ユーロドルは一時1.26台に下落していたものの、1.27台を回復する動きもあるが、相対的にポジション解消売りに圧されており、上値の重い展開を強いられている。ただ、これだけの悪材料が噴出しているにもかかわらず、下げ渋利の兆候を見せている以上、当面、1.2600〜1.2800のレンジ幅で売買を模索することが一考であろう。
他方、ドル円は、一部報道で日本政府が16日に発表予定の11月月例経済報告で、景気の基調判断を引き下げる方向で調整に入ったと伝えられているが、対欧米経済のみならず、日中関係の悪化が加わったことにより、既に4ヶ月連続の下方修正は現実味を帯びている。それ故に、景気対策の一環である日銀の追加緩和策への期待が高まっている以上、基本的には円売りの追い風になる可能性が高く、過度な円高期待は禁物であろう。ただ、ギリシャへの支援対策の難航が予想されるだけに、リスク回避を背景にドル円79円割れを想定した上で戦略性を高めることが賢明であり、当面、79〜80円のレンジ幅で逆張り待機が得策であろう。