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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米雇用統計の改善期待強まる!ドル円80円台定着?

昨日発表された一連の米経済指標が改善方向を示している。その中、ADP雇用統計は15.8万人増と事前予想(13.5万人増)を上回っているが、今回は調査対象の企業数を拡大するなど、明日の米雇用統計の数値に沿った形で実施されている。また、2001年までのデータからは96%の相関性があり、信ぴょう性に関しては一段と信頼が出来る数値と言われている。本日の米雇用統計の予想値は、非農業部門雇用者数(NFP)が12.5万人増となっており、前回(11.4万人増)を上回る予想となっているだけに、市場動向は概ねドル買いに傾斜せざるを得ない状況になっている。ただ、米大統領選挙を直前に控えた米雇用統計の発表なだけに、ある程度の波乱含みの展開を想定せざるを得ない状況にある。

一方、ドル円は80円台への足固めが着々と進行する中、依然として、リスク回避や実需の円買いにより、上値も限定的になっている。今晩の米雇用統計次第ではドル円80円台半ばを突発する可能性もあるが、あくまでも段階的な上昇局面と解釈して、同レベルでは一旦ポジションを清算することが一考であろう。

他方、ユーロドルはスペイン及びギリシャの支援対策に進展は見られない中、ドル円と同様に1.3000台が重石となり、現時点では米雇用統計待ちの段階であるが、ただ、ハリケーン・サンディによる米経済損失の規模を最大500億ドルと試算されており、今後の米国の国内総生産(GDP)統計や雇用情勢への影響を配慮すると、一方的なドル買い相場は考えにくい状況にある。当面、直近のレンジ幅1.2850〜1.3000で対応せざるを得ないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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