追加緩和+貿易赤字拡大+国債格下げ⇒ドル円80円台足固め?
特筆すべき材料がない中、昨日発表された9月の日本の貿易統計で、輸出額が東日本大震災後の2011年5月以来の落ち込みとなったことや、日銀支店長会議で公表された地域経済報告で東北を除く8地域が景気判断を下方修正していることが嫌気され、次回30日の日銀決定会合での追加緩和観測が高まりつつある。
一応、日銀は決定会合で資産買入基金の残高を長期間に渡って維持し、目標である80兆円の残高を達成する2013年末以降も物価上昇率1%が展望できるまで残高を維持する方針を検討している模様であるが、9月にも追加緩和策を導入しており、金融緩和策による効果は限定的との見方が少なくない、むしろ、日中関係の悪化による貿易赤字拡大や国債格下げが円売りを助長しているとの見方が優先されている。いずれにしても、円売り介入観測を踏まえた上で、円売り材料が途絶えていないだけに、ドル円80円台に向けての攻防が余儀なくされている。
一方、ユーロドルは格付け会社の格下げ後も、スペイン及びギリシャの支援要請が危機として進まない状態ではあるが、ユーロドルは1.30台では想定以上に底堅い展開を見せている。スペインのラホイ首相率いる国政与党・国民党が過半数を維持したことを受けて、相対的に緊縮財政プログラムへの支持が得られるとの見方が有力視されていることが起因しているが、ユーロ円が104円台半ば前後まで上昇するなど、円安の恩恵を受けた上昇局面とも解釈できる。