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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円高シナリオは115円まで!

▲米住宅関連の数字だけでも猫の目のように変わる米ドル相場であるが、米経済指標の信頼性にも疑問符が残る有り様だけに、米経済の不透明な台所事情が反映している表われとも言える。いずれにしても、すべての米経済指標がこれからの米金利動向を左右すると言っても過言ではないだろうが、明日のFOMCで政策金利が4.75%になる見通しは決定的ではある以上は、市場参加者の関心事が5月の利上げにあることは間違いない。すでに5%のFFレートもおり込み済みという先物市場ではあるが、実際問題として、利上げ後の景気後退説も観測されるような状況下では、5月の利上げの可能性は5分5分と見るほうが賢明であり、今後も波乱含みの展開が余儀なくされると判断すべきであろう。米ドル離れも依然として根強く、米経済の景況感を全面に押し出しながらの、利上げ声明文が有力視されるが、市場の慣性としては、5月の利上げに関して、不透明感が漂うような見解が含まれるようだと、米ドル売りが一気に加速する状況は常に想定すべきであろう。
▲バーナンキFRB議長もはじめてのFOMCでもあり、今回は引き続きグリーンスパン前議長の踏襲路線は維持されるが、先の発言内容にあったように『ドル安や貿易赤字縮小が、米国経済に悪影響を与える可能性は低く、そして、世界の資本が米国からシフトしても、米経済は必ずしも大きな打撃を受けない。』これらの発言が、今後の米経済の実体を表している図式でもあり、新議長のソフトランディングに向けての第一歩なのかもしれない。要は米貿易赤字削減は出来ず、米ドル離れが進むことを暗示しているとも言える。
▲人民元の切り上げの話題も尽きず、そして、FOMC政策金利発表後には、量的緩和解除を裏付ける日銀短観も4月3日に発表されるとなれば、必然的に、ドル円の上値の重さが拭えない事態を想定する必要はあるだろう。
*******今週のペットでも判る簡単チャートSummary********
作成年月日 2006年3月25日(土)

本チャートは、本来は時間をかけながら、相場の歪みを見定めて、売買シグナルを点灯させているが、ここ数週間は日替わりメニューのように、米ドルの乱高下が頻繁に発生している。この一ヶ月間でも毎週のように米ドルの乱高下が見られ、歪みの矯正が余儀なくされている。レンジ相場の様相とは言いながらも、神経質な流れが顕著に見られる相場である。
ドル円 【ユーロドル⇔ユーロ円】
先週118円台まで上昇した際には売りシグナルが点灯。現状レベル117.50円でも売りシグナル点灯中である。115円台を利食いのターゲットに少なめの売りから始動したい。
ユーロドル(ドル円−ユーロ円)平均乖離幅25円 現状乖離幅23.85←25.35円)
先週は売りシグナル1.2190が点灯したと思ったら、先週末には1.2030の買いでポジションを閉じる段階に突入している。 この1ヶ月間の流れは1.1940売り→1.1878買い→1.2045売り→1.1911買い→1.2190売りと判を押したように好展開であったが、今週はポジションをクローズして様子見段階である。
豪ドル(ドル円−豪ドル円 平均乖離幅28円 現状乖離幅31.65→34.25円)
オセアニア通貨の弱さが目立つ、一旦は損切りレベル突入している。資金的な余裕があれば、一服置いてから豪ドル買いにも妙味がある。先週は0.7270の買いシグナルが点灯していたが、今週は一気に許容範囲を越えた乖離幅であり、要注意レベルではあるが、少な目の買いスタート0.7085を勧める。
NZドル(ドル円−NZ円 平均乖離幅35円 現状乖離幅46.05←42.40円)
加速的にNZドルの下落が進んでおり、先週の損切り局面0.6343から今週は0.6080と更に下落している。基本は買いシグナルが点灯しているが、もう一段の下げを待ってから始動が賢明。0.6000まで待機することも検討すべし。
カナダドル(ドル円−カナダ円 平均乖離幅18円 現状乖離幅16.90←15.90)
先週は1.1589レベルで様子見。今週は1.1680で売りシグナル点灯中。
ポンド(ドル円x2−£円平均乖基準離幅25円 現状乖離幅30.30←28.35円)
先週はポジション解消の1.7555売りで様子見であったが、今週は1.7421で買いシグナルが点灯中。 
スイスフラン(ドル円−スイス円 平均乖離幅23円 現状乖離幅27.90←26.10円) 
先々週は売りシグナル1.3171→先週は買い1.2905の買いでポジション解消の運びであったが、今週は乖離幅が拡大し、1.3113の米ドル売りシグナル点灯中。
豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均基準乖離幅7.00円)
現状乖離幅11.80まで拡大、過去5年間最大幅12円まで接近中、この1ヶ月間の推移は9.30→10.80→10.75円→11.80円 と急速に拡大中、反転するまで待機。
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(255円以下は円高&260円以上は円安の目安) 
過去の経緯(255.25円→259.10→261.90→258.95→255.65→256.70→260.75
先週は115.90+141.30=257.20、今週は117.50+141.35=258.85。
欧州通貨ペア(1週間毎の過去の経緯)
ユーロポンド0.6862売り→0.6898売り→0.6941売り→0.6905売り継続中
ユーロスイス1.5639売り→1.5689売り→1.5717売り→1.5775売り継続
ポンドスイス2.2986売り→2.2763買い様子見→2.2641買い→2.2846売り様子見へ 
新外為の森 参照
★本ペットチャートでは3段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの
始動をお願いいたします。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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