円売り顕在化の兆し!ユーロに過熱感?
先のドイツ憲法裁判所のESM合憲判断やECBによる無制限の国債購入決定、そして、オランダ総選挙の結果を受けて、ユーロの買い戻しが続く中、メルケル独首相とイタリアのモンティ首相が電話会談を行い、ここ数週間の動きは欧州にとって非常に歓迎すべきこととの認識を示し、10月に予定されているユーロ圏首脳会談への協調体制が明らかになる中、ユーロドルは5月4日以来の高値となる1.31台半ばまで上昇を速めている。ただ、スペインなどが支援要請するかどうかが問題視されていると共に、急ピッチのユーロ上昇に伴い、ポジション解消の動きが一巡し、市場のコンセンサスはユーロの戻り売りに警戒感が強まっている。
一方、ドル円は底堅い展開を見せている。米国債利回りが大幅に上昇し、日米金利差拡大の影響もあるが、安住財務相が「あらゆる措置排除せず、必要なときは断固たる措置」述べたことが再認識される中、日銀がレートチェックを実施していたことが報じられていることも円売りを助長させている。また、尖閣諸島問題を背景に、中国デモが暴徒化する中、貿易面にも悪影響が懸念されていることも円売りに作用している。反面、中国経済の減速懸念を背景に、世界経済が低迷期を迎えており、相対的なリスク選考型の円買いも考慮しなければならず、ドル円は積極的にポジションをどちらにも傾けづらい状況にあり、再び、78〜79円のレンジ相場の傾向を強めている。
他方、米8月消費者物価指数や同8月小売売上高、同8月鉱工業生産など強弱まちまちの米経済指標が発表される中、格付け会社イーガン・ジョーンズが米格付けを「AA」から「AAマイナスに格下げしたことや、原油価格が一時100ドル近辺まで上昇したこともドル売りを誘引している。