ドル円77円台突入も自重気味の円買い局面?
市場は独憲法裁判所の合憲性判断をめぐり、ECBの国債買い入れ計画に異議を唱える独与党議員が判断の先送りを求めていたが、同裁判所は、予定通りに合憲性判断を行うと発表したことを受けて、ユーロ買いに傾斜していたが、昨日は、米格付け会社ムーディーズが米国の来年度の予算協議で、債務の対国内総生産(GDP)比率の低下トレンドが示されない場合、米国の最高位の「Aaa」格付けを見直す可能性があるとの見解を示したことから、市場はドル売りが加速、ドル円は78円割れへと3カ月ぶりに77円台に突入、また、ユーロドルもストップロスを巻き込みながら1.28台半ばまで上昇するなど、ドル売りに拍車がかかっている。
一方、市場は明日のFOMCの動向に注目が集まる中、先の8月米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を下回る伸びにとどまったことを受けて、FRBが量的緩和第3弾(QE3)の実施に踏み切るとの観測が高まりつつある。一応、現時点での市場調査によれば、QE3が実施される確率は60%となっていることもドル全面安の状況を作り出しているが、ただ、超低金利政策を余儀なくされている状況の中、FRBのQE3の効果には限界があるとの見方も少なくなく、仮に、QE3が実施されたとしても、既にドル売りが進行している関係上、一過性のドル売りに終わる公算は否定できないだろう。
他方、ドル円は下値を探る展開を強いられているが、相対的にリスク回避の円買い相場と言うよりも、FOMCのQE3の動向が直接的な材料になっている。とは言え、市場のコンセンサスは円売り介入を意識した円買い局面であることから、一方的な円高相場にはなりにくい相場環境にあると言わざるを得ない。