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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロドル・ドル円買い戻し優勢!材料出尽くし感から賞味期限も一考?

ECB理事会は政策金利を予想通りに過去最低の0.75%で据え置期を決定。その後の記者会見で、ドラギECB総裁は「適切な条件の下でECBは、ユーロ圏の物価安定に関する破壊的シナリオを回避する完璧な防護策を備える」と発言している。ユーロドルは発表直後には材料出尽くし感から利益確定売りが先行したものの、売り一巡後には再び買いが強まり、一時1.26台半ばへと高値圏まで上昇している。
結果的にはECB理事会で無制限の国債購入が決定したことが好感された格好であるが、懸念された利下げもなく、とりあえず、市場には安堵感が広がると共に、ユーロを買い戻す動きに繋がっている。内容は「無制限かつ不胎化の国債購入」「購入は期間1〜3年までの短期国債」「優先債権者待遇は不適用」などがあげられるが、これらの決定を受けて、財政難にあるスペインやイタリアなどが条件を受け入れ、救済基金に支援を要請すれば、ECBによる国債購入が開始出来る構図になっている。

一方、ECB理事会では、バイトマン独連銀総裁は国債購入に反対しており、政府ファイナンスにあまりにも頼りすぎだとし、重要な構造改革を先延ばしにする措置と非難しており、ECBの筋書き通りにいくかは懐疑的と言わざるを得ない。

他方、ドル円は、米ADP雇用統計が予想以上に強く、また、8月米ISM非製造業景況指数の改善結果もサポートとなり、本日の米雇用統計への期待感が強まりつつある。その中、NYダウ平均株価は、ECBによる無制限購入計画が加わり、前日比244.52ドル高の13292.00ドルと、2007年12月以来の水準まで上昇している。株高・円安を背景として、ドル円は一時79円台に上昇するなど、相対的にリスク回避志向が後退したことを受けて、市場はポジション解消による円売りへと傾斜している。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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