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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドルの賞味期限切れは117円台半ば?

我が家では賞味期限切れのピザが冷凍庫を占領している。おそらく食べても問題はないのだろうがと思いつつも、すでに10日も過ぎてしまった。どうも冷蔵庫で凍っていると、賞味期限の概念が薄れてしまう。為替の損失には賞味期限もないが、塩漬け保存と言うよりも、冷凍保存の方が似つかわしい言葉かもしれない。
いずれにしても、日替わりメニューのような相場であるが、米ドルが115円台のバーゲンセールとなると、5%の金利欲しさに投資家が一斉に群がる光景、そして乗り遅れたくない心理が米ドル買いを誘うのだろうが、117円台半ばにくれば賞味期限を意識してもよいかもしれませんよ!

●昨日も2月の米卸売物価指数(PPI)伸びから、利上げ継続と米経済指標に振り回される状況になっているようだが、経済指標で米金利の動向を探るよりは、3月の米金利の利上げは規定路線であり、5月の利上げに関しては、まだ流動的であると大雑把に捉えることが肝要である。
先のバーナンキFRB議長の講演内容を見る限りは、比較的柔軟性のある見解ではあるが、まだ新米FRB議長と言わざるを得ないのかもしれない。米景気に対しての不安要素を掲げながらも総体的には慎重な姿勢と言える。その後にはブッシュ大統領の米国経済の強気発言も見られているが、現状でのブッシュ大統領の支持率の低下や長期戦となるイラク問題も抱えており、厳しい財政局面と同時に、米ドル離れも案じられる最中だけに、表向きは強気な景況感と政府中心の金融政策が優先されているのが実体かもしれない。いずれにしても、この数日間の流れで、利上げ打ち止め観測も後退から、従来の利上げ論戦に戻ったように、今回の乱高下も、円高懸念と米金利懸念の先走りが生じただけであり、レンジ相場の域を脱してはいない。当面は115円台の底堅さ感じながらのトレードとなるが、117円台半ば以上にも同様な上値の重さがあり、再びレンジ相場116〜118円が継続されるものと判断する。要は一喜一憂して市場参加するのではなく、大局的に判断したい相場である。 他にも中国人民元の話題も含めて、投機筋の見方も分かれているように、レンジ幅を拡大して、逆張りに妙味がある相場とも言える。

▲米金利の利上げが最終局面を迎え、更なる米ドル高を求める効果は薄れているのが現実であり、利上げによる米ドル買いにも要注意と言える。とは言いながらも、日米金利差を背景にした円キャリートレードはドル円が115円を割れれば、健全な投資対象になることも忘れてはならない。一方ではFRB議長が長短金利の縮小に触れているように、3月の利上げにより、金利のフラット化は一時的に起きても、その後の逆イールド現象が生じると景気減速の地合は強まるのが自然体であろう。そして、金融政策の舵取りにも支障をきたすことは確実とも言われる。当面はドル円の116円割れの底堅さも隠した段階であり、米ドルロングが優勢ではあるが、ドル円の上値も117円台半ばからのは重く、実需の売りも散見されるが、利益確定のレベルと判断して、同レベルの売りを推奨する。ユーロドルも不安的な動きではあるが、1.220前後の売り圧力を確認しており、上値の1.21台半ばの売りを推奨する。買いは1.20割れの恐れはなく、1.2050前後の買いを推奨する。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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