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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

日米欧金融政策にジレンマ!小波乱必至?

昨日はNY市場が休場の中、欧州中央銀行(ECB)が6日ECB理事会で、債務危機封じ込めに対して、何らかの具体案が講じられると思惑から、相対的にユーロは底堅い展開になっている。ドラギECB総裁は、ECBが年限3年程度までの国債を購入することに問題はないとの見解を示しており、市場のコンセンサスはECBが債務危機の鎮静化に向けて債券市場への介入を再開するとの見方が有力視されている。
一方、中核国であるドイツ連邦銀行(中銀)はECBによる国債購入に反対している関係上、未だにECBの債券買い入れプログラムは正当化されておらず、同時に、ECBの金利引き下げ圧力も手伝い、ユーロドルは1.26前後で表裏一体の動きを強いられている。
他方、先の米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長の講演を受けて、ドルは円に対して、終始軟調に推移しており、徐々に78円割れも視野に入ってはいるが、政府日銀の口先介入や実需及び利益確定買いを背景に攻めきれない状況が続いている。
ただ、バーナンキ議長は先の講演で労働市場を取り巻く厳しい現状を強調し、FRBは景気回復を加速させるために必要に応じて行動すると言及しており、今週末に発表される8月米雇用統計の結果次第では、追加金融緩和への期待が高まる可能性が高く、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、ドル売りが加速する可能性は否定できない。
いずれにしても、世界経済が低迷する中、日米欧の中央銀行は追加金融策や潤沢な供給資金で先延ばしを繰り返しており、抜本的な打開策を見出すことが出来ない以上、現時点では、直近のレンジ幅の中で売買を模索するしか妙味はないだろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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